「これはヒーロー映画ではない。」ゼブラーマン bradyryoさんの映画レビュー(感想・評価)
これはヒーロー映画ではない。
かつては本気でなりたかった、なれると思っていた特撮ヒーロー。
僕はその気持をいつか何処かに置いてきてしまったが、その少年の心を大人になっても持ち続け、遂に真のヒーローとなる。
ただ、この場合のヒーローは通常ヒーロー映画で語られるような自己犠牲や人命救助などの要素はフィーチャーされておらず、
むしろ利己的といっていいほどにヒロイックではありません。
(自分の息子だけを助けたり、未亡人といい雰囲気になったり…)
だがこのゼブラーマンのいいところはそういった等身大なところにあるのではないでしょうか
彼の「ゼブラーマンになりたい欲」は、彼自身の引っ込み思案、いわゆる弱さの反動でした。
夜中に出かける娘に強くも言えず、いじめられている息子を目の前にしても何もすることができず。。彼の「強くなりたい欲」は次第に大きくなります。
コスプレして外出するなど、完全にこじらせていますがこれは比喩です!彼は長所を伸ばしているのです!
「やばい…浅野さんに見せたい…!」
好きなことを貫き、少しずつ「なりたい自分」になってゆくのです。
本物になったときのコスチューム、見得を切る感じ。
めちゃかっこいいです。最初とは雲泥の差。
ちょっと疑問に思う部分もありましたがそこは理解不足。ジョークとして処理しました。
・浅野家にカニ男が現れるシーン
・ゼブラナース
・ある人物がたびたび漏らしてしまう原因
・及川にぶっ飛ばされたエイリアンの末路
それと忘れてはいけないのが渡部篤郎さんが扮する不真面目な防衛省 及川。
反発心を不真面目という態度で表現する弱い人間だったけど、命令に背いたシーンにはぐっと来ました。
彼の反発心(怒りではなく、やるせなさ)がにじみ出る顔の演技が始終良かったです。
彼は宿命のレールから飛び立つことができるのか?
ゼブラーマンは空を飛べるのか?