「素晴らしい作品」映画ドラえもん のび太の海底鬼岩城 むぎちぁさんの映画レビュー(感想・評価)
素晴らしい作品
竜の騎士、パラレル西遊記と共にリメイクをすっ飛ばされた3大影薄ドラ映画の一つ。
興行収入(配給収入)が歴代の全ドラえもん映画の中で最下位という不名誉な記録を持っている。
ドラえもん映画4作目の今作は上記の通り正直影が薄く、他の作品に見劣りするのは否めないのだが、それでも個人的に好きなドラえもん映画のTOP5には入るくらい好きな作品である。
ドラえもん映画にはその作品ごとにバディ(相棒)キャラが必ず登場する。今作では海底人のエルがそのキャラにあたるのだが、このエルのキャラが好きだ。ドラえもん達が禁じられている国境越えを行なったがエルを助けたがため捕まってしまい、その後死刑判決にするか否かの法廷で、エルは自分を助けてくれたみんなを救おうとたった一人で必死に首相に訴え続けるシーン。ここでは感動を覚える。
そしてこの作品を語る上で欠かすことが出来ないのがバギーの存在である。旧ドラ映画の半数ほどはバディに加えてマスコットキャラも登場するのだが、今作ではそれはバギーにあたるだろう。序盤から非常に憶病かつAIらしく感情が欠落しているような発言も多いバギーだが、クライマックスでは大好きなしずかちゃんのために炎上する車体ごと黒幕に特攻し爆散してみんなを救うという英雄的活躍をする。このシーンが今作で最も印象に残っているという人が一番多いのではないだろうか。
しかしリメイクされない理由はここにある気がしてならない。もちろん収入面が過去イチでコケている作品というのが最も大きい要因だろうが、このバギーによる特攻も現代では再現が難しい表現なのだと思う。これは誰がどう見ても旧日本軍のカミカゼ特攻であり、批判やクレームが数多く寄せられるのは目に見えているからだ。
しかしこのバギーの特攻シーンを無くしてしまってはそれはもう海底鬼岩城ではないし、どうしようもない要素なのだろう。
旧ドラ映画特有の不気味さが今作ではしっかり発揮されている点も良い。旧ドラ映画は軽いホラームービーと言っていいほど怖いシーンが多いのも特徴なのだ。
色々と語ったが、とにかくまだ見ていない方は是非見て欲しい作品である。
子供の頃から好きな作品だったが、大人になった今見ても十分に楽しめる作品となっている。バギーの雄姿を一人でも多くの人に見て欲しい。そう思わせる作品でした。