海がきこえるのレビュー・感想・評価
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ジジイになった今だからこそ…星四つwww
`93年にテレビ放送された作品だそうですね。その当時の暮らしやファッション、町の風景を忠実に拾い上げていて、とても懐かしく観ることができました。
でも、自分がリアルタイムでこの映画を観ていたら、今日とは全然違う印象を持っただろうとも思います。
あの頃より相当丸くなったはずの私が観ても、冒頭から続くヒロインのあまりの自己中ぶりには腹が立ちました。「なんじゃ、コイツ?」と思わず声に出してしまった。これが主人公たちと近い年齢だったなら、きっと彼女を受け入れられなかったでしょう。彼女の抱える事情を考えたとしても。そして、そんな彼女を許して何かと巻き込まれていく主人公の包容力さえも、「アホウ」の一言で片づけたんじゃないかなあ。
それなりに年を取った今だから、彼女たちを我が子や孫を見るような目で見られたのかも。最初こそ戸惑いましたが、物語の終盤には、二人とその仲間たちをすっかり気に入っていました。
修学旅行がハワイだなんて、バブルが弾けた後でもあの頃はまだ余裕があったんだな。今はどこへ行くんだろう? 当時の「お受験勝ち組」の暮らしぶりに、今の子どもたちはどんな反応を見せるのかな?
世代や環境、立場の違いでいろいろな感想が出てきそうな映画です。この作品を観た様々な人たちと、感想を語りたくなりました。
氷室冴子先生の名作を上手くまとめている良作
まず、劇場でこの作品を観れることに感謝します。
この作品は氷室冴子先生の同名の小説が原作ですがボリュームある内容を上手くまとめている青春恋愛ものです。ちなみに小説は大学生時代を描く続編の海がきこえる2アイがあるからもありますがこちらもとても面白いです。
音楽は永田充氏が担当しておりシンプルでありながら印象的な楽曲は耳に残ります。サントラも発売されていますが、その中で永田氏は素朴さや暖かみを表現したとおっしゃっています。
全てが30年前の平成一桁年代のその時代が舞台ですが、当時の高校生・大学生のそのままの様子が丁寧に描かれています。一部、現実的な、法的な視点で批判的な意見を見かけますが、お門違いというか、それを言ったら世の中の全ての小説は世に出せなくなりますよと言ってあげたいです。もしくは、それらにめくじらを立てるなら世界の全てのエンタメは見ないほうがいいです。ちなみに原作にはそれらの描写はしっかりとあります。1990年代のはなしですよ?
氷室冴子先生のこの原作は一人称が同じく僕で、男性視点での物語でありながらかなりライトなタッチで進んでゆき、ボリュームがあるのにスピーディーさがあるので一気に読み切ることができ、この映画もその良さを考慮していると思います。約70分に収めているため、あちらこちらエピソードカットはありますが気にならない範囲内です。良いエピソードもあるので是非原作を読んで欲しいと思います。
最後に、高校生の青春恋愛ものと言ってしまえばそれまでですが、他には見られないさわやかさを感じる作品ですのでおすすめです。絵も綺麗に柔らかく描かれています。ジブリ作品ではありますが、良い意味で巨匠色に染まっていないと思います。
20〜30年早かった映画
ビデオでしか見たことがなく、リバイバル上映が話題にもなっていたので改めて鑑賞。
印象は変わるかなと思っていたけど、さほど変わりなく、今となっては舞台となる時代は古いものの、普遍性を持った映画だったんだなと再認識した。だからこそかもしれないが、今の時代にその普遍性が刺さるのかもしれない。シティポップが見直される構図と似ている。
演出はところどころアラはあるものの、印象的なシーンやカットが多く、主人公のモノローグも相まって、構成要素としては新海作品と同じじゃないかと妙な逆転した発見もあった。
ストーリー自体はそもそも賛否があるので、絶賛とまでは言いづらいが、田舎から上京した自分と重なる記憶もあり、瑞々しさや感傷的なところはすごく共感してしまった。これは初見の時もそう思った。
少し脱線するが、今見てもスタッフはすごい面々で、こういった作品をスタジオとして定期的に作り続けることがてきたなら、スタジオジブリはビッグネームに頼ることなく次々と"ジブリらしい"作品を作り続ける制作スタジオになれたかもしれない。
なにもかも癇に障る
2025年劇場鑑賞208本目。
エンドロール後映像無し。
昔テレビで見たはずだけど、なにせ昔なので全く覚えてませんでした。なんか恋愛映画だったかなくらい。時間合わず後回しにしてきましたが、鬼滅のおかげで今週他に観るものなく、無事鑑賞。
リマスターかと思ったら昔ながらの画質で大丈夫かな、と思いましたが(鬼滅の後なのでなおさら)まぁそれは慣れます。
本日2度目の関俊彦だ、と思ったまでは良かったのですが、声優の演技、特に女性陣の演技がどうも素人くさいと言いますか、ジブリ映画で声優使わないみたいなところの悪い所が出てる感じ。後音楽もなんかクセのあるメロディ、女性陣の性格が意地悪な人多い、主人公と親友とヒロインの関係がモヤつく、極めつけは未成年の飲み会、喫煙です。これがテレビで再放送されない原因の一つと聞いています。もう一つは短さらしいですが。
確かに昭和の大学生は未成年でも大学生になった瞬間飲酒喫煙する風土がありましたし、高校卒業の打ち上げ会ですでに居酒屋を予約して、店も断らない感じでした。自分はバレて捕まらなきゃ法律破っていいという卑怯な考えが大嫌いなので、法定速度もきっちり守るタイプだから、この飲み会に参加した時も黙認までが妥協点で、一滴も飲みませんでした。そういう昭和の嫌な所も思い出したので癇に障りましたね。
最後もなんじゃそりゃと思いました。某大ヒットアニメとほぼ同じシチュエーションでこうも印象が違うのかと思いましたね。
自分でも気が付かない恋心だったとしても、それなりの説得力が欲しかった
大学生の主人公が、高校時代のほろ苦い「恋」を思い出す物語なのに、ヒロインに魅力が感じられないのは、ラブストーリーとして致命的ではないだろうか?
ヒロインは、美人で、成績が良く、運動もできるのだが、引越してきた高知のことを見下していて、クラスメイトとの協調性もなく、相手の親切心に付け込んで、いいように利用する姿を見るにつけ、気位が高く、自己中心的な性格の持ち主であるとしか思えない。
いくら、主人公が、彼女と一緒に2泊3日の東京旅行に行く羽目になり、彼女が家庭環境に恵まれていないということを知ったとは言え、同情と恋愛感情とは別物のはずで、彼が、いつ、何をきっかけとして、彼女を好きになったのかがよく分からない。
おそらく、彼女の方は、ハワイでお金を借りた時点で、主人公に気があったフシがあるのだが、主人公の方は、親友が彼女に振られたり、彼女がクラスメイトに吊るし上げられたりしたことを契機に、彼女と喧嘩した際も、彼女に対する自分の気持ちに気付いていなかったのだろう。
もしかしたら、同窓会の日に、港で、親友から言われて、初めて、彼女のことが好きだったと気付いたのかもしれず、これが唯一の海のシーンなので、「海がきこえる」というタイトルも、そういうことなのではないかと思ってしまった。
まあ、「恋」というのは、決して理屈で説明できるものではないので、主人公が、修学旅行での彼女の写真を入手したり、彼女と一緒に東京に行くと決めたりした時点で、既に彼女に好意を持っていたのかもしれないが、それでも、彼女の性格を考えると、彼女への恋心になかなか共感できないので、そうした、「自分でも気が付かない自分の本当の気持ち」というものにも、今一つ納得することができなかった。
また、写実的なキャラクターや、リアリティのある背景など、アニメーションとしてのクオリティの高さは感じられるものの、アニメならではの表現技法や見せ場がある訳ではなく、この物語をアニメで描かなければならないという必然性があったとも思えない。
その一方で、有線電話やラジカセやトラベラーズチェックといった、あの頃ならではのアイテムの数々は、高校時代を思い出すというノスタルジックな雰囲気によくマッチしていて、どこか心地よい懐かしさを感じることができたのは、令和の時代に観ることができたからだろう。
大人にこそ響く、甘酸っぱい追憶
■作品情報
監督:望月智充。原作:氷室冴子。脚本:中村香。キャラクターデザイン・作画監督:近藤勝也。音楽:永田茂。主な声の出演:杜崎拓役 飛田展男、武藤里伽子役 坂本洋子、松野豊役 関俊彦。制作:スタジオジブリ。公開年:1993年5月5日(テレビ初放送)。
■あらすじ
東京の大学に進学した杜崎拓は、故郷・高知へ帰省する飛行機の中で、高校時代を思い出していた。それは、東京から転校してきた美少女、武藤里伽子との出会いから始まる物語。成績優秀でスポーツ万能、しかしどこか浮世離れした里伽子に、拓の親友である松野豊が惹かれる。一方、拓は強気な里伽子の言動に振り回され、反発を感じつつも、共に過ごす時間が増えていく。やがて、友人関係と恋心の狭間で揺れ動く若者たちの、甘くもほろ苦い青春が描かれる。
■感想
本作を観終えたとき、心に残るのは言葉にできないような懐かしさと、胸の奥がきゅっとなるような甘酸っぱい感情です。冒頭、現代のアニメ作品と比べると、当時の技術的な限界や、意図された「平熱感覚」の絵柄に、正直なところ少しだけ物足りなさを感じたのは否めません。しかし、物語が進むにつれて、そのシンプルな線と色使いが、かえって作品の世界観に見事に溶け込み、ノスタルジーを掻き立てることに気づかされます。
スクリーンに映し出される高知の街並み、ブラウン管テレビやレトロな生活家電、そして当時の流行を映す髪型や服装のすべてが、まるでタイムカプセルのように、あの頃の日本の日常を鮮やかに蘇らせます。それは単に当時を詳細に描いているだけでなく、失われた時間の温かさや、記憶のフィルターを通した輝きをまとっているようです。この時代だからこそ描けた、そして今だからこそ深く刺さる普遍的なテーマを確かに感じさせます。
杜崎拓の視点で描かれる青春のエピソードは、自分自身の学生時代には経験できなかったような、まぶしいほどに甘酸っぱいものです。拓の優しさや誠実さと、それに対し身勝手に見える里伽子の行動に時に苛立ちを感じつつも、互いに相手の存在が少しずつ大きくなり、それがやがて特別な感情へと変化していくのを感じます。あの頃の不器用さ、純粋さ、そして未熟さゆえの輝きが、丁寧にすくい取られているようです。友人との葛藤、親との関係、そして恋の駆け引き。すべてが発展途上の若者たちの姿は、時を経て大人になった今だからこそ、より深い共感を呼び、自身の成長と重ね合わせて懐かしさを感じさせます。そういう意味では、これは大人が「あの頃」を思い出し、新たな感情を味わうための作品だと言えそうです。
リバイバル上映ながぜよ
匂いまで伝わるほど、その時代に生きた人には響く映画
⭐︎3.9 / 5.0
30年前の本放送からずっと心揺さぶり続ける本作
30年前、進め青春少年という当時のバラエティ番組から取ってつけたようなチョイ枠で突然放映された本作。見た瞬間、気持ちの全てを持っていかれました。
それ以来ずっと、心惹かれたまま。
夏の始まりに永田茂氏の作った本作の音楽が頭に流れ始ます。ファーストインプレッションと海がきこえるという本作のメインで流れる音楽です。永田氏の音楽はなんとも言えない独特の雰囲気を醸し出しており、全然つながりのない高知の風景ですら私に身勝手にノスタルジーを感じさせてしまうのです。
絵は近藤勝也氏。これはもうなにも言う必要がないでしょう。素晴らしいの一言です。
マニアックな話になりますが、録音もとてもいいです。記憶が間違っていなければたしかこの頃、当時渋谷にあった音響制作会社のAPUスタジオがHi8録音に切り替えた頃ではなかっただろうかとおもいます。音響監督は今は亡き浦上靖夫御大。氏のなせる技であろう。また整音が柴田氏と大城氏という2本柱で完璧な業である。
また役者も素晴らしいのです。カミーユ・ビダンと松田耕作が高知弁で話し、ナウシカが方言指導というもはや混乱するレベル。ジブリは近年、宮崎駿の意向でか素人を起用するケースが多いが本作はほぼ本職の芸術的な演技によって支えられているのです。
ジブリで良作はと聞かれたら
ナウシカと海がきこえると即答するでしょう。
すでに映画館3度目の視聴。
高知には行きたいけど行けないので、
吉祥寺の駅構内抜けてあえて吉祥寺の映画館で見ています。「きちじょうじ」の看板は今やスチール製から樹脂製へ変わっている。ロンロンはアトレへ、その昇降口をあえて抜け、タイムトンネルをくぐるかのようにして、得も言われぬ感覚を抱きながら、4度目の映画館に今週も行くことにします。
当時とだいぶ印象が違う
10年後にまた見たい
映画『海がきこえる』レビュー|経営者の視点から見る“心の距離”と“選ばれる理由”
『海がきこえる』は、1993年にスタジオジブリが手がけた青春アニメでありながら、派手な演出もない、静かで繊細な作品である。だがこの「静かさ」の中にこそ、経営者として学ぶべき“本質”があると感じた。
高知の高校を舞台にしたこの作品は、主人公・杜崎拓と転校生・武藤里伽子のすれ違いや葛藤を描く。恋愛のようでいて、はっきりとは言葉にしない感情の交差が、観る者の記憶に静かに染み込む。
この物語で強く印象に残るのは「言葉ではなく、行動と思いやりで人の心は動く」という点だ。これはまさに、経営においても同じである。お客様に“選ばれる理由”は、単なる言葉や商品スペックではなく、目に見えない「心地よさ」や「信頼」だ。
たとえば、私が関心を持っているよもぎ蒸しのサロン経営でも同様である。どれだけ効果効能を説明しても、実際に来店された方が「ここは安心できる」「また来たい」と思わなければリピートにはつながらない。それは、店の雰囲気・接客・空気感といった、五感に触れる“無言のメッセージ”で伝わるものだ。
『海がきこえる』の魅力は、登場人物たちが何を言うかではなく、「何を言わずにいるか」にある。その沈黙が、関係性をよりリアルに、そして重層的に描き出す。経営者もまた、社員やお客様との間で“察する力”“聴く姿勢”を持つことが大切だと気づかされる。
大声でアピールしなくても、人の心に届くものがある。『海がきこえる』は、よもぎ蒸しのように、静かに心と体に染みわたる作品である。派手さではなく、芯の強さと丁寧さ。経営においても、そうありたいと感じた
スマホも携帯もポケベルもなかった時代
リバイバル上映で鑑賞。
放映された当時は小学生だったので、初めて聞いた作品でしたがジブリ若手集団による野心作とのことで鑑賞。
結果、大人になった今観てよかった。幼い頃だと面白みを感じなかったかも。
スマホも携帯もポケベルもなかった時代の青春映画。ノスタルジーを感じさせられた。
静かに響いてくる大人のジブリ
全91件中、21~40件目を表示
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