「自分でも気が付かない恋心だったとしても、それなりの説得力が欲しかった」海がきこえる tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
自分でも気が付かない恋心だったとしても、それなりの説得力が欲しかった
大学生の主人公が、高校時代のほろ苦い「恋」を思い出す物語なのに、ヒロインに魅力が感じられないのは、ラブストーリーとして致命的ではないだろうか?
ヒロインは、美人で、成績が良く、運動もできるのだが、引越してきた高知のことを見下していて、クラスメイトとの協調性もなく、相手の親切心に付け込んで、いいように利用する姿を見るにつけ、気位が高く、自己中心的な性格の持ち主であるとしか思えない。
いくら、主人公が、彼女と一緒に2泊3日の東京旅行に行く羽目になり、彼女が家庭環境に恵まれていないということを知ったとは言え、同情と恋愛感情とは別物のはずで、彼が、いつ、何をきっかけとして、彼女を好きになったのかがよく分からない。
おそらく、彼女の方は、ハワイでお金を借りた時点で、主人公に気があったフシがあるのだが、主人公の方は、親友が彼女に振られたり、彼女がクラスメイトに吊るし上げられたりしたことを契機に、彼女と喧嘩した際も、彼女に対する自分の気持ちに気付いていなかったのだろう。
もしかしたら、同窓会の日に、港で、親友から言われて、初めて、彼女のことが好きだったと気付いたのかもしれず、これが唯一の海のシーンなので、「海がきこえる」というタイトルも、そういうことなのではないかと思ってしまった。
まあ、「恋」というのは、決して理屈で説明できるものではないので、主人公が、修学旅行での彼女の写真を入手したり、彼女と一緒に東京に行くと決めたりした時点で、既に彼女に好意を持っていたのかもしれないが、それでも、彼女の性格を考えると、彼女への恋心になかなか共感できないので、そうした、「自分でも気が付かない自分の本当の気持ち」というものにも、今一つ納得することができなかった。
また、写実的なキャラクターや、リアリティのある背景など、アニメーションとしてのクオリティの高さは感じられるものの、アニメならではの表現技法や見せ場がある訳ではなく、この物語をアニメで描かなければならないという必然性があったとも思えない。
その一方で、有線電話やラジカセやトラベラーズチェックといった、あの頃ならではのアイテムの数々は、高校時代を思い出すというノスタルジックな雰囲気によくマッチしていて、どこか心地よい懐かしさを感じることができたのは、令和の時代に観ることができたからだろう。
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