劇場公開日 1993年12月25日

  • 予告編を見る

「30年前の本放送からずっと心揺さぶり続ける本作」海がきこえる せくしい軍曹さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 30年前の本放送からずっと心揺さぶり続ける本作

2025年7月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

30年前、進め青春少年という当時のバラエティ番組から取ってつけたようなチョイ枠で突然放映された本作。見た瞬間、気持ちの全てを持っていかれました。
それ以来ずっと、心惹かれたまま。

夏の始まりに永田茂氏の作った本作の音楽が頭に流れ始ます。ファーストインプレッションと海がきこえるという本作のメインで流れる音楽です。永田氏の音楽はなんとも言えない独特の雰囲気を醸し出しており、全然つながりのない高知の風景ですら私に身勝手にノスタルジーを感じさせてしまうのです。

絵は近藤勝也氏。これはもうなにも言う必要がないでしょう。素晴らしいの一言です。

マニアックな話になりますが、録音もとてもいいです。記憶が間違っていなければたしかこの頃、当時渋谷にあった音響制作会社のAPUスタジオがHi8録音に切り替えた頃ではなかっただろうかとおもいます。音響監督は今は亡き浦上靖夫御大。氏のなせる技であろう。また整音が柴田氏と大城氏という2本柱で完璧な業である。

また役者も素晴らしいのです。カミーユ・ビダンと松田耕作が高知弁で話し、ナウシカが方言指導というもはや混乱するレベル。ジブリは近年、宮崎駿の意向でか素人を起用するケースが多いが本作はほぼ本職の芸術的な演技によって支えられているのです。

ジブリで良作はと聞かれたら
ナウシカと海がきこえると即答するでしょう。

すでに映画館3度目の視聴。
高知には行きたいけど行けないので、
吉祥寺の駅構内抜けてあえて吉祥寺の映画館で見ています。「きちじょうじ」の看板は今やスチール製から樹脂製へ変わっている。ロンロンはアトレへ、その昇降口をあえて抜け、タイムトンネルをくぐるかのようにして、得も言われぬ感覚を抱きながら、4度目の映画館に今週も行くことにします。

せくしい軍曹