Jam Filmsのレビュー・感想・評価
全3件を表示
幕の内弁当
普通オムニバスは何か共通のテーマで競い合うスタイルだと思っていたが、プロデユーサーや監督たちのインタビューを聞くと縛りは短尺ということだけだったようです。ですから何を撮るかは選ばれた監督任せなので個性と力量がもろに出てしまいますね。
15分弱の短尺なのでワンテーマしか入れられないでしょう、勝手な印象では・・
1話:メッセンジャー(監督:北村龍平)
非業の死を遂げると霊が成仏できないので引導を渡す死神の使いが要るのですね。
まるでシェークスピアのマクベスを思わせる大芝居、異様な雰囲気とあいまって引きこまれました。
2話:けん玉(監督:篠原哲雄)
落とし物の取違いから起こる珍騒動を描いたシチュエーション・コメディ、ストーリーと言うよりキャラクターを愉しむ趣向かな。
3話:コールドスリープ(監督:飯田譲治)
人類がなまじ小利口だと世界が破滅するので馬鹿な人類を創生しようというマッドサイエンティストの企み、そのナンセンスさを気味悪がるSF仕立てのブラック・コメディ
4話:パンドラ(監督:望月六郎)
中国4千年の秘術で女性の水虫を治すというが水槽に入れた足の指を若い男が只管しゃぶる、余りの快感に身をよじるというエロティック・コメディ、ちょっと不気味なのだがアカデミー賞をとったシェイプ・オブ・ウォーターを思わせる演出が先んじていたとは驚き。
5話:ひじき(監督:堤幸彦)
立てこもり犯と人質家族がひじきの煮つけを食べながら不幸自慢、ほだされて自首しようとベランダに出るが・・。まるで落語の小噺なのだが妙にシリアスに描くとろが堤流。
6話:JUSTICE(監督:行定勲)
高校の授業風景のスナップ、ポツダム宣言書を英語で読み上げている最中、妻夫木君は校庭の女子のブルーマ姿に見入ってしまう、なんと女子の中に17歳の綾瀬はるかさん、眩しいばかりのブルーマ姿はお宝級。一言で言ってしまえば単なる思春期の不謹慎エピソードだがいわば平和の証、それにポツダム宣言を被せるあたりのセンスが行定監督の非凡さでしょう。
7話:ARITA(監督:岩井俊二)
少女の妄想ファンタジー、要するに内容はどうでもよく、只管、広末さんを可愛く撮りたいという岩井監督のラブレターを見せられたわけですね。
個人的には6話:JUSTICEのお宝映像に尽きますねと言ったら身も蓋もないけれど、そもそもドラマとは呼べない短尺なのでお味見程度の感想になりました。
どれもこれもやっつけ仕事のような感じがしてダメ。ただし「けん玉」は...
どれもこれもやっつけ仕事のような感じがしてダメ。ただし「けん玉」はまあまあ良いかなと思ったし「Justice」のブルマーには惹かれました。
とにかく不思議
七つの短編からなる短編映画。一貫したテーマ等は無くそれぞれの監督が自由に独自の世界観を描いている。
とにかく上手い。たった15分そこらで一つの話が綺麗に完結している。
「the messenger-弔うは夜の果てで-」 北村龍平監督
ストーリーに関しては特筆すべき事は無いが、構図や演出がかっこいい。設定もなかなか面白い。
「けん玉」 篠原哲雄監督
短編としては一番綺麗にまとまっている作品。コメディ要素も面白いし、カップルの感情の動きも上手く表現できてたと思う。ただ綺麗すぎるかな。もっと荒々しい脚本で良いと思う。せっかく商業目的ではない短編なのに。
「コールド スリープ」 飯田譲治監督
星新一の短編集にありそうな話。近未来に対する警鐘とと人間の陳腐な欲望、エゴ等が上手い事組み合わさってる。これまた綺麗にまとまった作品。筒井康隆が出演してたのには笑った。
「Pandora-Hong Kong Leg」 望月六郎監督
エロい。なんといってもエロい。とにかくエロい。
「HIJIKI」 堤幸彦監督
悲喜劇とシュルレアリスムの交わりが心地よい。見ていて飽きないし、それぞれのキャラクターがちゃんと立っているので掛け合いも面白い。最初のテロップはいらないかな。
「JUSTICE」 行定勲監督
これが一番好き。とにかく笑った。カメラのアングルやキャラクターの下らなさなど雰囲気の作り方が好きだった。音楽のスピード感に合わせたような演出も見ていて気持ちいいし、何と言ってもブルマ最高。これに限る。
「ARITA」 岩井俊二監督
テーマやメッセージという意味ではこれが一番良く出来ている。視聴者に伝わりづらいが、そもそも伝える気があるのだろうか?結局ARITAの存在は何だったのだろうか?共感は出来ないが何となくの理解は出来る、そんな作品。
全3件を表示