劇場公開日 2002年6月15日

「【”何事も人。そして夢を諦めない男。”今作は窓際であったビデオ事業部に異動になった男と仲間達が世界規格となったVHSビデオの開発秘話を描いたサラリーマンであれば、涙する作品である。】」陽はまた昇る NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 【”何事も人。そして夢を諦めない男。”今作は窓際であったビデオ事業部に異動になった男と仲間達が世界規格となったVHSビデオの開発秘話を描いたサラリーマンであれば、涙する作品である。】

2025年11月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

幸せ

ー 最初に。
  今作には邦画の名優を越えた名優である、故西田敏行さん、先日逝去された仲代達矢さんが出演されている。瞑して、ご冥福をお祈りいたします。ー

■粗筋
 日本経済がマイナス成長に陥った1970年代前半。
 日本ビクター本社開発部門に勤める開発技師・加賀谷静男(西田敏行)に、左遷とも言える、非採算部門である横浜工場ビデオ事業部に赴任し人員削減をするよう、役員達から指示がされる。
 だが、人材を財産(人財と言う言葉を我社では使っている。)と考える加賀谷は、ある極秘プロジェクトを立ち上げた。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・ご存じの通り、加賀谷静男は実在の人物をモデルとしている。
 実に立派な方であると思う。

 <加賀谷が赴任後に行った大改革の数々>

  1.本社指示の人員削減をせずに、効率的な組織編成を行った事。
   ⇒これにより、やる気を失っていた人たちは、加賀谷への想いと共に、やる気を取り戻すのである。

  2.ビデオ事業部240名の名前を、全て覚えた事。
    ⇒組織の長たるものの必須の仕事であるが、240名の名字だけでなく下の名前まで覚えるというのは凄い。だが、これにより240名とのコミュニケーションが進むのである。社長からフルネームで呼ばれて、嬉しくない人はいないでしょう。

  3.下請けと言う言葉を部下に使わせずに、”協力会社”と言う言葉を使うように指示している所。
   ⇒これにより、協力会社社長たち(井川比佐志たち)は、加賀谷を信頼していくのである。

  4.開発陣が、昼夜を問わず開発したVHSを【互換性のある、統一規格】とするために、ライバルメーカに内部構造を公開した事。
  ⇒これは、凄い事である。だが、結果的にこの判断が世界にVHSを広めたのである。

  5.世界の松下幸之助(仲代達矢)に、アポなしで夜に車を走らせて、松下の大阪本社に会いに行った事。
  ⇒これは、博打であるが、日本ビクターの役員達が、ベータ導入を検討している中での行動である。そして、松下幸之助が言った言葉。
   【VHSは、150点や!】

<今作は窓際であったビデオ事業部に異動になった男と仲間達が世界規格となったVHSビデオの開発秘話を描いたサラリーマンであれば、涙する作品である。
 ラスト、妻子と工場に行った加賀谷静男が見た、ビデオ事業部240名が作った人文字のシーンは名シーンである。
 さあ、明日から又、厳しき仕事を頑張ろう!と思わされた作品でもある。>

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