「儚いが薄くはない。」映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦 撃たれる前に撃てさんの映画レビュー(感想・評価)
儚いが薄くはない。
クリックして本文を読む
鑑賞した方々の評価が凄く高かったので興味があったが中々観る機会が無く、今回ようやく鑑賞。
まずは戦国時代の人々のアンバランスさ。その土地に産まれたから戦い生きる。女性であれば親の都合のいい嫁ぎ先で一生生きる。そこに個人の感情や思想が入る余地が非常に少ない。かといってみんな画一的かというとそんなことは全く無くその中でも相互尊重は成熟しており、情報量が段違いで文化的に成熟している現代の野原家を受け入れ、憧れるもそれは自分には手に入らないものとして一線を引く。普通の少年マンガであれば文明の利器を得ようと一悶着ありそうなものだか、野原家に対しては戦国時代のルールは適応されない。例え自分達が滅ぼうとしても。
今回の野原家の視点は現代の我々と近く、あまりにも世界が狭く不穏な春日の地の人々がとても危なっかしい。しかし先程述べた相互尊重の強さが彼等の人生を儚く見せている。
又兵衛はあっけなく死ぬ。しんのすけが来た事で周りの状況を大きく改善させたが、又兵衛自身は最初に鉄砲で狙われた時に死んでいたとしても(内面的には大きな変化があっても)外から見た彼の人生には何の変化も無かった。
しかし無意味では無かった。
人は生きる意味を見つけたがるが見つけられずに、あるいは意味の途中で挫折することに儚さを感じ、虚無感を覚えるが例え儚いからといって選んだ生き方が薄い訳では無いということを再認識。観る年代によって色々な気付きを与えてくれる秀作。
コメントする