日本の黒い夏 冤罪のレビュー・感想・評価
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古いけれど。
昭和4,50年代の雰囲気です。
日活感が漂っています。台詞回しも古くさいので、堅苦しく違和感があります。
役者は実に豪華なんですが。
ただ、内容はとても意義のある物です。
マスコミの情報の扱い方、視聴者の受け取り方、警察の在り方。
考える良い機会になると思います。
名前こそ変えてあるけれど、この冤罪事件は実際に起きた事ですので、こちらも真摯に向き合わざるを得ません。
当時私は高校生でしたが、テレビで報道される通り、「第一通報者のおじさん
(この映画ではかんべさんとされています。)が犯人なのか」と信じて疑いませんでした。容疑者と報道された時点で、その人は殺人犯だと世間に認識されます。後遺症に苦しめられるのみならず、この第一通報者の方は、殺人犯のレッテルを貼られる二重の被害を被っています。
最近でも、この映画同様、マスメディア(と情報提供者、及び視聴者)に問題提議する映画がありました。
インターネットやSNSの普及等で情報が簡単に拡散される時代、若い世代にも是非考えて頂きたい問題だと思います。
それだけに、この古くさい仕上がりが
もったいなく感じてしまいました。
それでも【冤罪】は産み落とされる
前日に‘あの時間帯’の電車に乗り合わせて居た身としては、その発端となった松本サリン事件の真相と、当時のマスコミ各社の報道の在り方、“何故冤罪は起こるのか?”は実に重要です。
警察は検挙率を上げる為の《体裁第一》であり、テレビは《視聴率》とゆう怪物が、新聞は《部数を増やす為》にすぎない。そこに“思い込み”と“決めつけ”が絡み合い【冤罪】は産み落とされる。
映画はその事に疑問を持った高校生が、テレビ局の報道関係者に会って当時を検証するデイスカッションドラマになっています。
よく見ると主な参加者はテレビ側の4名に、高校生は女子高生の1名(男子はほとんど発言しない)それに警察関係者1名と、モデルとなった河野義行さん役の寺尾聡の僅か7名とも言える。
熊井啓監督自ら書いた脚本は、冤罪がいかにして作り上げられて行くのかを実に丁寧に描いてはいるのですが、今時の高校生が発する様な言葉や仕草等からは程遠く、主要な出演者達の関係からは「一般の人が果たしてそれぞれの関係から、そんな言葉遣いや態度を示すのだろうか?」との疑問が終始気にはなります。
但しそれに疑問を持たなければ問題意識の高い作品ですので、【冤罪】を考えるのに良い機会の作品かと思います。
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