「エンタメになるような映画ではない」DISTANCE ディスタンス Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
エンタメになるような映画ではない
俳優陣は豪華なのに撮り方が凄く地味な映画。いかにも是枝監督作品らしい。
まるでドキュメンタリーのようなカメラワークとアドリブのような自然な会話。
90年代を生きたことのある人間としては、オウム真理教のテロ事件はまだ記憶に生々しく、震災と並んでこれほどチリチリとした緊張感に苛まれる題材もないだろう。
普通だった人々がカルト団体に取り込まれて行く様子(本人はあくまで自分の選択していると思っているが)が恐ろしい。
だが、人生に選択肢のなかった人――たとえば病気や介護、家族のモラハラやDV、親からの虐待などに苦しんできた人ほど、これこそが自分の選択肢だと確信してはまり込んでしまうことはある。
結局、加害者遺族達が生きていた頃の記憶をたどっても、何故彼らが凶行に走ったのかは判然としない。一番近くに居たはずの家族でも理解できない、そういった距離(DISTANCE)を描いているのかもしれない。
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