「サスペンスや友情ドラマがぎっしり詰まった傑作」アルカトラズからの脱出 阿久津竜斗さんの映画レビュー(感想・評価)
サスペンスや友情ドラマがぎっしり詰まった傑作
クリント・イーストウッドが、実在したフランク・モリスを演じた今作。
いきなり本編から離れた話失礼します。始め、めちゃくちゃ『ショーシャンクの空に』に似てるなぁ、って思いながら観てました。
モリスは朝食でネズミに餌をやるリトマスと出会い(『ショーシャンクの空に』でいうブルックス)、おネエには詰め寄られ(ボグズ)、黒人のイングリッシュとも友人になる(レッド)。
これだけ似ている部分があるのに、『ショーシャンクの空に』がこの『アルカトラズからの脱出』から影響を受けたみたいな話は聞いたことがない。「刑務所から脱獄する話」ってなるとそういう感じになるんでしょうかね。
……ということで本編の話にいきますが、えー最高でした。看守にバレそうでバレないスリルが堪らなかったです。
久しぶりにこれだけ惹き込まれる、濃密な映画を観たなと思います。
やっぱ好きなシーンを挙げるとなると、モリスが、ドクが落とした指を集め、看守にわたすシーン。サラッとドクを想うモリスの姿がクールでとんでもなくカッコいいです。
で、あと今作の魅力はモリスとイングリッシュの友情。二人が何気なくする会話は男らしくてカッコいいし、最後モリスが脱獄したのがバレた時、イングリッシュが優しく見守っているとこがマジで痺れます。
にしてもこの二人が『ショーシャンクの空に』のアンディとレッドにしか見えないのですが……。僕だけなんでしょうか。だってアンディとモリスは頭良いところ共通してるし、レッドとイングリッシュは最後までアンディ、モリスをそれぞれ想い続けている。ま、どっちの友情も最高ですので似ているとかどうでもいいですけどね。以上です。
「お宅がこの段に座らない理由は二つだ。俺たちが怖いか、黒人が嫌いかだ。どっちだ坊や、怖いのか」
「いいや────嫌いなだけだ」
──モリスとイングリッシュの会話より