若草物語(1964)のレビュー・感想・評価
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家出娘のドタバタ劇
日活四大女優に頼り切ったプログラムピクチャーの安直な映画制作
日活四大女優共演が唯一の見所としか言えない作品だが、主演格の浅丘ルリ子も吉永小百合も役柄が合っていない。東京オリンピックで発展著しい都市建造物や街並みを背景にした時代証明の映像の記録性もあるが、あくまで背景に過ぎず、物語を支える程の意味合いもない。姉妹が絡む三角関係の恋愛ドラマを主軸にした脚本の凡庸さ、その展開を台詞で殆ど説明してしまう会話劇故の演出の工夫の無さが目に余る。当時の制作に賭ける時間も予算も限られた事情は想像するも、それを考慮しても安易な演出である。女優の魅力に頼り切った脚本と演出の日活映画。対して男優では、浜田光夫は良いとして和田浩治と山内賢の演技が足を引っ張る。女優に比べると添え物程度の扱いであり、俳優として育てると言うよりアイドルの位置付けではないだろうか。その後の消費文化を窺わせる日本映画のひとつの形態を垣間見るようだ。
昭和39年の日活スター女優
女優たちの若かりし時代、個性もパターン化されていて、それぞれに適した役柄を作ったと思われる。そんな中、浅丘ルリ子は新鮮感があったが、吉永小百合は余りにも似通った役柄とセリフ、型にはめたがる日活の姿勢が今となっては鼻につく感じ。
高度成長期の東京。オリンピック後も堅調。東京駅のラッシュ、首都高、煙を吐く煙突、銀座、日比谷公園、代々木、松屋、羽田モノレール。今も様子は変わらない部分も。
和田浩治の豪邸では家の中でBBQ。ほんとかい? これはちょっと笑わせてもらったけど、当時、映画館に来た庶民は羨ましく思ったんだろうな。
というわけで、この映画は姉妹に代表される日活スターたちを眺め、当時を感じさせる風景や調度を堪能する、そういう映画としては悪くないと思う。
映画斜陽期に、挽回をもくろみ4大女優を共演させた作品。さあ、あなた...
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