竜馬暗殺のレビュー・感想・評価
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黒木和雄監督が描いた竜馬暗殺までの3日間
初見は学生時代の名画座=池袋・文芸地下(1981年4月5日)だったので、41年ぶりに観た。
今回観たのは、司馬遼太郎の長編小説「竜馬がゆく(全8巻)」を再び読了したので、「黒木和雄監督は竜馬の暗殺事件をどのように描いたのか?」が気になって再見。
この映画は、竜馬が暗殺される日までの3日間(慶応3年11月13日~15日)を描いているが、竜馬が潜伏していた近江屋の土蔵が窓から出入りできたり、土蔵の向かいの女の部屋に出入りできたり…と変わった描き方に見えた。
また、竜馬と一緒に暗殺された中岡慎太郎が竜馬を殺そうとしていたのは、司馬遼太郎の原作とは全く異なる。
また、「ええじゃないか」の騒動も交えて描かれているが、確かに時代的には合致するものの、本当に竜馬が女装して「ええじゃないか」に参加したのかは不明。
まぁ、そもそも竜馬暗殺自体の一部が明確になったのは、竜馬暗殺の下手人(数人)のうちの男が維新後の死ぬ間際に告白したことなどから犯人の一部が判明したものの、謎に包まれた暗殺事件だったので、竜馬が暗殺されたという事実以外の枝葉エピソードは、黒木和雄監督が独自に生み出した物語。
竜馬を演じた原田芳雄は確かに迫力あったが、実際に残されている坂本竜馬の写真(数枚)と比べてしまうとチョット違うかな…という気もする。
また、司馬遼太郎「竜馬がゆく」には登場しなかった松田優作が演じた男も意味不明の感あり。
司馬遼太郎が描いた「竜馬がゆく」は、新聞記者時代を含めて日本全国あちこちを取材して、現地を見て、史料を読んだりしながら構築した物語であり、不明な部分が明確になった根拠も記載されているので、個人的にはあの小説に描かれた竜馬はかなり忠実だと思っている。
<映倫No.18090>
私にはヒットしなかった。
原田芳雄、松田優作、石橋蓮司、桃井かおりの出演、しかも幕末とあって楽しみにしていたが、のんべんだらりのトーンが続き、物足りなかった。
レビューを見ると評価されている人も多いので、いろいろな見方があるのだろうと思う。
広島国際映画祭2021@映像文化ライブラリー
バカ殿が3人
石橋蓮司が原田芳雄に抱きつき幸せそうに寝ている。この絵はちょっと…爆笑せざるを得ない。まだ若かりし2人、すでに幅が広いなぁと感心させられる。そこに野犬のような松田優作が絡んでくる。
喜劇では決してない。タイトルの通り国運を左右すべき時の重要人物による高度な政治的駆引きを示す。解釈は特異であるが異様に説得力がある。過去に見たいずれの作品の龍馬と慎太郎より、活きた2人がここにいる。
内ゲバをテーマにしているのは明か
まことにATGらしい映画です
スマホアプリにいろんなフィルターがあります
もし戦前の白黒映画フィルターというものがあったらこのような映像になるのでしょう
その狙いは二つだと思います
ひとつ目はドキュメンタリータッチを追求する
原田芳雄の風体は歴史本に見る竜馬本人の写真そのものぐらい似て見えます
二つ目は戦前の白黒映画と同じ画質で、現代的な演出や現代的な俳優達を撮ってみせることで、同じ地平で比較してなんら劣るものではない
むしろこの実力を正しく評価してくれという野心的なものなのだろうと思います
確かに原田芳雄、松田優作、石橋蓮司、桃井かおり等クセのある役者達が活躍をみせて、戦前の名優達に負けるものではないことを証明していると思います
彼等のその後の活躍がそれを裏付けてもいます
演出も時代劇のお約束的なものは排され、現実的な表現を追求されています
これもまた時代劇の革新であったと思います
竜馬暗殺シーンの迫真性は印象に残るものです
そしてこの時代の青春映画と同様に政治的な意味合いも持たされていると思います
それは内ゲバをテーマにしているのは明かでしょう
70年安保闘争と学園紛争の敗退後、彼らは路線闘争に明け暮れ、仲間内の殺しあいに迄になっていたのです
本作公開時は、連合赤軍の山岳キャンプ事件の後も、大学校内だけでなく、町中の路上で突然鉄パイプによる襲撃事件が続発していたのです
本作の志士達の争いはまさにその暗喩になっています
序盤の京の町中で刀を鉄パイプのように上に向けて集団で一人の侍を襲撃するシーンは内ゲバのシーンそのものです
つまり本作はその内ゲバに対してそれを続けて良いのかという疑問を突きつけるものであり、その情熱を肯定的に描くものでもあります
内ゲバは2000年代に入ってもなお発生しています
団塊左翼老人達はいまもなお、本作のような幕末の斬り合いの中に生きているのかも知れません
そして1961年の今村昌平監督の豚と軍艦と同じく国民を豚に見立てるモチーフが登場します
また、ええじゃないかを無知蒙昧でムードに流されて意味も分からず騒ぐだけの存在として描き、彼らの政治闘争への理解を示さない国民への蔑視の視線を向けています
この姿勢である限り国民が彼らの思想運動への理解も賛同や協調など望むべくもないことを露呈しているのです
21世紀に生きる私達から見れば、まさに本作の映像のような古色蒼然とした信じられない世界です
本作を見る意義と意味はこのことを留意してみる事なのだと思います
白塗り三人衆
竜馬と中岡慎太郎の掛け合いを滑稽に描き原田芳雄、石橋蓮司の遣り取りが面白い。
終始、緊迫感のある雰囲気を醸し出しながらも原田芳雄演じる竜馬像の呑気さが全体を和ませる。
岡田以蔵の人物像が魅力的だからこそ松田優作の役柄が生まれたのだろう。
新撰組や京都見廻組も絡まずに薩摩藩に中岡慎太郎が刺客とする大胆な解釈を70年代に映し込む凄み。
竜馬を演ずるは原田芳雄のみ!本作と関係は無いが岡田以蔵は萩原健一、ショーケンしか考えられない。
モノクロ4:3ギラギラした天パ役者たち
原田芳雄、石橋蓮司、松田優作がザラっとしてコントラストの強い白黒映像の中でぎらついてる。
竜馬暗殺までの3日間を描く。
坂本龍馬と中岡慎太郎の関係性を描く話は初めてみた。
ちょこちょこ出てくる龍馬・当時のネタ豆知識みたいなテロップが笑かす。
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