劇場公開日 2023年10月27日

竜二のレビュー・感想・評価

全10件を表示

4.5金子正次、怒涛の1983年

2023年12月14日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

興奮

萩原健一の「ララバイ」が流れ始めて物語の幕が開け、エンディングロールが終わる頃に何も映らない真っ黒なスクリーンから再び萩原健一の「ララバイ」がフルに流れる、もうそれだけで堪らない訳で。。。

金の無心に来る相手に給料袋を差し出そうと躊躇する竜二、最終的には財布に入った有金を渡す、観ているコッチとしては安堵する場面でもあり映画的で派手に演出することはないからこそのリアルを感じながらラストに決断する場面に繋がっているようで、迷いはあれど責任逃れで自分に甘い人生の選択をする竜二には共感も出来ない、男の美学に酔っているだけにも、それでも格好良い、儚い、見守りたい、不思議な魅力を醸し出す竜二のキャラクターと演じる金子正次の存在感に酔いしれる。

演じるのが金子正次では無かったら、今でも生きていたのなら、この作品の評価や位置する価値も今では違っていたりするのか、公開当時に『竜二』を観て熱狂した人はましてや長渕剛がヤクザを演じたTBSドラマ『とんぼ』なんか鼻で笑う程度でしかないだろう、そんなドラマが今でも長渕剛と共に大好きならば本作を観てその価値観を脱ぎ去ろう、パクリやマガイモノがオリジナルを上回り騙し続ける腹立たしさ!?

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万年 東一

5.0伝説の作品。

Mさん
2023年12月12日
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ずっと、「何事も起こらないでください」と、祈るような気持ちで見ていました。
大好きな「チ・ン・ピ・ラ」の原作者と聞いていた金子さん。見たいと思いつつ、もう何年たったことか。やっと見ることができました。
萩原健一や山口百恵の歌が印象に残ります。

名作!
(という一言では表せない名作です)

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M

3.0ヤクザホームドラマ

2023年11月9日
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80年代の新宿の風景が見られて興味深かった。サワー300円。配達の仕事に二人がかり、3ヶ月であげてくれる給料…うらやましい。

甘えんなよ?!という気にはなる。これが男の美学なのか。女だってこういう気持ちあるけど、子ども置いて行けないじゃない。

とはいえ、自分の居場所探しという意味ではシンパシーを感じた。安売りに並ぶ妻子、そのあまりの平凡さに立ち竦んでどちらを向くか。中学生くらいのときはこんな感性もあったなあと思った。

葛藤もあっただろうが、大事にしてくれ、側にいてくれた父のことを思った。同世代の父はこの映画をみて当時、何を思っただろうか。

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hyvaayota26

4.0命を削ったような自主映画

2023年10月30日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

映画の題名は知っていて、また、俳優・金子正次が公開後にすぐに亡くなって、命を削ったような遺作と感じていたものの、観たことがなかった。今回上映中ときいて、VOD配信もほとんどみつからないから、テアトル新宿まで夜遅い時間帯を観に行った。
約90分があっと言う間で、昭和の雰囲気に浸かることができました。俳優の声の質がいまと違うのは単なる録音技術の違いだけではないような気がする。当時の熱量が伝わってくる声音。それと、俳優・金子正次の粘り気のある目力、本気度MAXの目力、これこそこの映画の核、成り切った目してます。それと、永島暎子もその場に溶け込んだような演技で、自然な笑顔、自然な視線、まるでそのもののようにこちらもなり切っていて、俳優の力で血肉の通った映画になってます(監督の演出の力もあったはず)。

それと、最初に流れてきた主題歌、長渕剛?と思ったほど、萩原健一「ララバイ」の歌い方に似ている。長渕剛、デビュー当時は透き通った歌声だったのに、いつからか、こね回した歌い方に変わっていったけど、この映画を真正面から影響受けたと感じる。この映画の口上も歌詞に採用しているし、「とんぼ」の長渕キックもこの映画そのもの。この映画を何度も観て、主題歌も何度も聞いたのかもしれませんね。中高時代に長渕ファンだったので、そのルーツがここにあったと感じられ、夜遅く新宿まで行ってみた甲斐ありました。

テアトル新宿、オンラインで予約していったけれどチケット印刷する機器は置いてないんですね、また地下で電波つながらないので、メールのリンクのバーコード出せない(ま、メールのリンクそのものが壊れてったのでどのみち出せない状態でしたが)ので、メール本文で入りました。

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菜野 灯

3.0ラストシーンの余韻に浸ってます。

2023年10月29日
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ラストシーンが秀逸。
今の映画みたいにあれもこれも丁寧な説明はありません。
むしろ、コンプラ無視の女性蔑視発言や暴力、過激な性描写にウンザリするかもしれません。
でも、その間から読み取れる登場人物達の感情の動き方は丁寧に描かれてます。

この作品を最後にこの世を去ったという金子正次の伝説的な作品という前振りがありましたが、確かにこれは素晴らしい作品でした。
優しくてセクシーな竜二。女性はもちろん、男である私ももっていかれたのはここだけの話です笑

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ねじまき鳥

3.0ヤクザの悩み

2021年8月31日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 子どものために堅気になった竜二。まり子の実家でも誘いがあったのだが、それを断り、ヤクザをやってた頃と同じ新宿中野で酒屋の仕事をもらった・・・素直に九州へと行けばいいのに、東京に残った時点でヤクザに未練が残ってた証拠。舎弟からは「金が必要なんだ」と頼まれたり、アパートの部屋にヒロシ(北)がやってきたりと、ヤクザに戻りたいという心を芽生えさせる誘惑ばかり。

 ラストシーンは意外な心理描写。肉屋の売り出しに並んでいたまり子が竜二と遭遇。普通の人間の生活なんて真っ平だ!と顔に書いてあるぞ、竜二。といったシーン。「また九州に行こっか?」「また全日空に乗れるの?」という母子の会話が痛々しい・・・

 暴力団同士の抗争だとか、ドンパチといったものは一切無い。暴力はといえば、舎弟である桜金蔵に対する殴る蹴るといった行為のみ。

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kossy

5.0不純物のない純度の高い映画です

2019年10月24日
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鑑賞方法:DVD/BD

圧倒的な名作です!
これを名作と言わず何を名作というのでしょうか
日本映画のオールタイムベストに入るのは当然です
脚本やロケのリアリティーは群を抜いており、役者達のキャラクターのたった配役と演技
それを際立てせている演出
なにもかも素晴らしいものです

伝説となった金子正次は言うに及ばず、特に永島暎子!
彼女の演技はいくら称賛されても足らないほどの感嘆、驚嘆するほどのものなのです

終盤の夕方の商店街で仕事帰りにはまだ早い時間に竜二を見かけた時、喜んで声をかけようとするその顔が一瞬で引っ込みます
大売り出しに恥ずかしげもなく並ぶ自分をみる冷たい視線に気付いて全てをさとります
すると一瞬目に涙が光ったかと思うと、彼女は全てしようががない、それが竜二さんなんだとスッパリ諦めた顔になっているのです
そして幼い娘に話かけようとしゃがんだ時にはもう清々しい笑顔が浮かんでいます
そして、おばあちゃんとこに帰ろうかと言うのです
この一連の芝居が流れるように自然に嘘くさくないのです
心を打つものなのです
日本映画屈指の名演技かつ名シーンでしょう

ラストシーンの白いスーツで歌舞伎町を颯爽と歩く竜二の姿もまた素晴らしい演出の終わりかたでした

時代は1978年頃と1983年
前者の時代は竜二がやくざの幹部として最前線にいた時代です
かれの住まいからみたと思われる歌舞伎町の俯瞰シーン
新宿バッティングセンターのネオンの位置関係からおそらく大久保ニ丁目交差点辺りの階数の高いマンションから見た光景に思われます
歌舞伎町の裏口の全てが眼下に広がっています

そして後者は西武新宿線新井薬師駅辺りと思われる堅気になった竜二の物語です
心を許せる妻とかわいい娘と汗水垂らした勤労で得た金で慎ましいアパートで暮らす幸せな日々です

しかしある日彼は夜にベランダから顔をだしてこう大声でいいます
この窓から、なんにも見えないなあ…
もちろん夜景のことではありません
将来の展望も、野心の行方も見えはしないということです
不安げに顔を向ける妻の顔とともにロングショットで捉えて長く時間をかけて引いていくカメラ
そこにかぶさるエレキピアノ、そしてサスティーンを効かせたエレキギターの哀愁のある音
この台詞とこの映像、音楽は本当にお見事としか言い様のない名シーン名演出でした
いつまでも心に残るものです

この映画が心をうつのは若者が人並みの大人になる幸せが、同時に若さの喪失を意味しており、年をとること、人並みの大人になることを拒否した生き方もあることを描いているからだと思います
だから普遍性を持つ共感なのです

特に公開当時、団塊の世代の人々は正に竜二と同じ年代でしたから圧倒的な共感を集めてヒットしたのは当然だと思います

竜二が酒屋の配達のトラックの荷台から、こうはなりたくねえ!という視線をむけた、公園でゲートボールに興じる老人達の姿
しかしそれは21世紀のいまの竜二の姿なのです
彼等団塊の世代の姿なのです

人は老いるのです
いつか死ぬのです
単調ではあっても幸せな日々のうちに次第に老いてそして死ぬ
それは当たり前の人間の人生なのです

それを拒否するなら竜二のようにやくざな存在に戻るしかないのです

やくざに戻った竜二の36年後の現在
70歳になった竜二は今どうしているのでしょうか?
今も「竜二」なのでしょうか?

そして同じように老いることを拒否していた団塊世代も老人になったのです
いやもしかしたら、老人になって責任がなくなった今だからこそ、はじめて彼らは竜二に戻ろうと考えているのかもしれません

もちろん普遍性のある物語ですから、21世紀の若者も素直に感動できます
老人にだまされたり、洗脳されたりする嘘や不純物は一切ありません
純度の高い映画です

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あき240

4.0「野菜が高い…」

2016年11月22日
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鑑賞方法:DVD/BD

「うるせぇこの野郎!」

千原ジュニアが紹介してるのを見てすぐにレンタルしました。

カタギの世界になじめない男の行く末が切ないです。

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ジンクス

4.5ヤクザ役以外は観たくない俳優

2014年12月14日
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泣ける

悲しい

萌える

女 「コーヒー頂戴」
竜二「・・・てぇめぇで入れろこの野郎~~~!」
当時これ真似したひと多かったのだと思う。男も女も。

東映も惜しい才能を逃した。
Vシネマの雛形とも言うべき作品。
それにしても映画ドットコムはいわゆるヤクザ映画の評価が低いね。

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泥エモンx

3.5金子正次さんの全て

2014年7月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

金子正次さんの人生が乗った、最初で最後の一本。公開前に亡くなり伝説の一本だと言うことは知ってて、観るタイミングはこれまで何度もあったけど、僕も色々経験して30過ぎて観れて良かったと思う。最後の一本と聞くとド派手なヤクザ映画かなと、そういうのを撮りがちだと思うのだけど、ヤクザからカタギになった男の心の動きを丁寧に描いた静かで優しくて、でも狂気も孕んでてなんとも切なくなる映画でした。終わり方がまたなんとも言えない。浸れる映画でした。金子正次さんがこんなに人間味があって魅力的な方だと知りませんでした。

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奥嶋ひろまさ