夜の素顔

劇場公開日:

解説

「不敵な男」の新藤義人のオリジナル・シナリオを、「一粒の麦」の吉村公三郎が監督したもので、自己の野望のため権謀術数を弄して舞踊界の花形になった一人の女の半生と、それを追い越そうとする若い弟子の葛藤を描いたドラマ。撮影は「一粒の麦」の中川芳久。「赤線の灯は消えず」の京マチ子、「一粒の麦」の若尾文子をはじめ、根上淳・菅原謙二・細川ちか子・小野道子・坂東簑助らが出演する。

1958年製作/121分/日本
原題または英題:The Ladder of Success
劇場公開日:1958年10月15日

ストーリー

一九四二年、南方航空隊基地。空襲下、軍慰問の踊子・朱実と、慰問係士官・若林中尉はジャングルの奥深い防空壕の中で結ばれた。--一九四八年、東京に引揚げて来た朱実は、小村流の家元・小村志乃に弟子入りした。やがて六年後--朱実は、志乃が歌舞伎俳優の中村十次郎と踊りたいという念願を利用することより、自分の飛躍を図った。修善寺温泉で十次郎に逢い、色仕掛けで彼を説きふせた。発表会の結果、志乃が老醜、古色蒼然と叩かれたの反し、朱実は新鮮溌溂と絶賛された。朱実は、志乃のパトロン猪倉を誘惑し、彼の後楯で菊陰流を創立した。舞踊研究所の落成披露に贈られた花輪の一つに眼を止めた朱実は、動揺した。若林の名があったのだ。安ホテルに彼をたずね、二人は抱擁にひたった。やがて、朱実と若林は結婚した。そして、封建的な家元制度反逆という歌い文句で、師匠と弟子の関係を、教師と生徒に置きかえ、月謝制度を公演という手に替えて、全国を公演して歩いた。しかし、仕事の成功に比例するように、借金がかさんだ。朱実の家まで、担保入れる始末だった。やがて、朱実は日本舞踊同盟を結成、彼女の勢力は舞踊界から抜くことのできぬ強固なものになった。が、朱実の地位を狙うものがあった。内弟子の比佐子である。比佐子は若林と結ばれていた。その現場を見られた若林は、朱実の許から去って行った。そして、比佐子と舞踊研究所を始める準備を、蔭で進行させていた。朱実は、バレーを盛りこんだ舞踊劇「日本の夜明け」を公演することに成功した。その初日、朱実は舞台で突然倒れた。間もなく、楽屋で彼女は息をひきとった。比佐子は記者たちに、「わたくしが立派あとをついで参ります」と昂然と言った。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0京マチ子×若尾文子

2024年8月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

★本日、3回目の鑑賞。初めてDVDで観た。
★初見は、2013年4月20日、神保町シアターで鑑賞。この時は、未ソフト化作品だった。
★二度目は、2020年10月8日、角川シネマ有楽町にて鑑賞。

クレジット順では、「京マチ子と若尾文子」のダブル主演だが、3回とも若尾文子見たさに鑑賞😍w
京マチ子は冒頭から最後まで出演しているが、若尾文子は中盤から出演。ただ、若尾文子が登場してからは二人の女性同士の執念燃えるバトルが見もの。
また、序盤の京マチ子回想シーンはモノクロだが、その後はカラー映画なので綺麗な若尾文子が見られる。

また、この二人以外で存在感を出していたのが、浪花千栄子。京マチ子の元育ての母親だが、昔のネタ(花街にいた件)でユスリに来る。こういう金にこだわる役をさせたら浪花千栄子の右に出る者は居ないのではないか。金に執着する姿は、映画『女系家族』同様に楽しい🤣笑

冒頭はモノクロで、1919年の南方基地で慰問踊りをしている京マチ子から始まる。
爆撃されながらも根岸淳と抱き合う場面が印象的。
南方の敵機襲来シーンは「特殊撮影=的場徹」クレジットがあったので、さすが迫力あり。

そして昭和22年東京、ある舞踊家の弟子になりたいと京マチ子が頼む場面では「古い伝統は滅びない」という名言。その場面が終わると、昭和28年。そこから映画はカラー映像になる。
師匠を引き立てる素振りを見せながら、師匠のパトロンを体で奪った京マチ子は破門されるが奪ったパトロンに金を出させて「菊陰流の家元」となる。
この菊陰流での弟子が、若尾文子。ようやく登場!😄笑

京マチ子は、戦場で抱き合った根岸淳と再会し結婚するが、しばらくして若尾文子に奪われる。
『自分が師匠にしたことは、弟子にもされる』という京マチ子のイタイ展開。

ここで、京マチ子の菊陰流一同が地方巡業をする場面では、「画面分割シーン」となるが、これがデ・パルマのように直線で分割するのではなく、境界線をぼかした(重ねた)分割場面。吉村公三郎監督の工夫が見られた。

後半は、京マチ子と若尾文子の『したたかな女同士の壮絶バトル』が素晴らしい。
京マチ子の夫(根岸淳)を若尾文子が身体で奪うだけでなく、心臓弱い京マチ子を怒らせて入院させる若尾文子。
あちこちの場面で二人の確執が見られるが、若尾文子が思い通りに展開したタイミングで「ほくそ笑む」シーンが好き🙂

製作:永田雅一とクレジットされただけあって、金のかけ方が格段に違う大映作品の力作のひとつである🎥✨

<映倫No.10821>

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たいちぃ

4.0昭和の名女優。流石です!

2020年10月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
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るー