夜明け前のレビュー・感想・評価
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信じたものに裏切られる男の苦悩
言わずと知れた島崎藤村の超長編小説の映画化。142分。ソフトは図書館のVHS。
幕末、中山道の宿場の本陣と庄屋を兼ねる青山家。当主の半蔵は今でいうリベラル、お上の圧政に抗議し、飢饉には倉を開き、民百姓を慈しみ、世の中が変わることを願って維新の流れを助ける。しかし、維新が成って、期待した新政府の体制は前にも増して庶民につらくあたるものだった。太陽暦の採用に、改革が急過ぎると抗議するが受け入れられない。世の中の最先端で革命を推進していた者が、いつのまにか世の中に置いてかれる立場になる。信じたものに裏切られた半蔵はやがて奇矯なふるまいをするようになり、ついには放火までする。
主演の滝沢修はもちろんいい演技だけど、ちょっと二枚目すぎるかな。万民平等を目指しているようで、苦悩する半蔵を気遣う妻には「おまえは家にいて機を織っていればいい」と言い放つあたりは、まあ時代ですねえ。
乙羽信子がかわいらしい長女クメ役。父に似て世の中に関心を持つ利発な娘です。
映画の前半はじっくり描かれていますが、後半少し展開が早い感じ。新政府にさからって戸長を罷免された父をみてクメは自殺を図るのですが、ちょっと唐突です。半蔵が苦悩して、狂気にはいっていくプロセスも早い、もっとじわじわ描いてほしかった。
和宮降嫁、新撰組、天狗党、新政府軍の通過‥、盛り込むことが多すぎた、といっても盛り込まざるを得ないし。尺の問題が大きかったと思います。
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