鑓の権三のレビュー・感想・評価
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昭和のプロたちの全員集合
近松戯曲の登場人物は、当時の社会情勢からは自然なんだろうけど、すべてが歯がゆくてどうも好きになれない。ストーリ・ドラマは置いといて、こんなことを感じた。
古典的な封建世界を竹満徹は、三味線の音色で表現する。大監督、大女優に、撮影宮川一夫、美術西岡善信といったその道の匠たち。障子越しの二人の様子や、格子窓の外から見た二人の会話シーンとかハッとする様式美。日本映画を知ったスタッフ・キャストへの安心感かなあ。
当時、ディスカバージャパンという言葉が残っていたか微妙だけど、西日本を代表する古典情緒を醸し出す町並みや名所旧跡。「あれ、ここは?」と訪れて既視感ある風情。
というわけで、どこか懐かしく感じる作品だった。
ジャパーン
2023年8月17日
映画 #近松門左衛門 #鑓の権三 (1986年)鑑賞
ベルリン国際映画祭銀熊賞 (芸術貢献賞)受賞作
公開の1986年は #郷ひろみ が31歳
1984年が #2億4千万の瞳
1985年1月に #松田聖子 が破局会見し、9月に #二谷友里恵 と出会い、1986年3月から約1年間ニューヨークへ行った頃
ジャパーン
郷ひろみ主演の時代劇なんてあったんだ。 濡れ衣の不義が真の不義に。...
郷ひろみ主演の時代劇なんてあったんだ。
濡れ衣の不義が真の不義に。地味、地味すぎる話。
田中美佐子の体当たり演技が貴重…かと思ったら、他にもいっぱい体当たり作品があるのね。志麻姐さんが色っぽいが田中美佐子みたいに頑張ってくれなきゃ(笑)
結局、一番の見どころは火野正平のリアリティ感抜群の生首であった(笑笑)
BS日テレ
筋書きが色恋物
郷ひろみ扮する唄にまで歌われた鑓使い笹野権三は仲間内で楽しく語り合うメンバーがいた。太平の世なれど武芸よりも茶の湯の方が出世も早い時代。権三は火野正平扮する川側伴之丞の妹、田中美佐子扮する雪と言い交わした仲ながら伴之丞は権三をライバルとしてふたりの仲を許さず。一方、茶の湯で秀でようと権三は秘伝の巻物を見たいと伴之丞が心を寄せる岩下志麻扮するおさゐの娘を嫁にすると約束した。果たしてみだれに乱れた権三の運命や如何に?
郷ひろみ主演作は初めて観たが、乗馬も殺陣も様になっていたね。ただ近松門左衛門の筋書きが色恋物で下半身がだらしない権三の顛末で、大物俳優らの出演はあれどちょっとけしからん内容だったね。
モテ男の失敗
昔、映画館で見たなー。BS日テレで放送したので、何十年ぶりに再見。
容姿端麗、文武両道、流行り歌になっちゃうくらい、いい男。そんな権三はモテモテ。同僚の妹に迫られ、結婚の約束をカル〜くする。お役目奪取を目論み、引き換えに縁談を持ちかけられれば、易々と受けてしまう。節操ないなぁ。二股はイカンよ。
本当は不義密通してはいなかったが、言い訳できない状況になってしまい、逃亡。しかし、最後は自ら討たれる。きちんと筋を通せば、こんなことにならなかったのに。世の中を甘く見てたな。
権三を郷ひろみ、良き妻・母であるおさいを岩下志麻、権三に恋焦がれる娘お雪を田中美佐子、おさいに横恋慕する、お雪の兄・伴之氶を火野正平が演じる。
女優は2人ともねっとりしてて良かった。暗い炎がチラチラするような目で、権三にロックオンするお雪。もうどうにも止まらない。おさいは元々、権三が好みだったから、2人で逃避行するうちに、権三沼にズブズブはまっていく。どうせ誤解されてるんだから、本当にしちゃえばいいじゃあーりませんか。
火野正平が嫌らしさ満点。郷ひろみは姿よく、動きにキレがあって、まさに男盛り。
おさいが15歳の娘の髪を整えるシーンは、情感があった。この映画を見た後に、人形浄瑠璃も観劇したのだが、同じ場面があり、娘への細やかな愛が表現されていた。権三に近寄られなければ、子どもと離れずに済んだのにねぇ。つくづく、軽薄の人とは交わるべからず。
BS日テレ木曜時代劇にて。
二人の情感のほとばしりが感じられず…
各登場人物には何の救いも感じられず、
なんとも後味の悪い鑑賞となった。
ある意味、封建時代における理不尽な
悲劇物でもあるのだろうが、
例えば小林正樹監督の「切腹」のような
そんな強い時代感も得られず、
全ての不幸が
おさゐ(岩下志麻)の個人的な対応の拙さが
原因と感じるばかりだった。
時代性に迫るのでないなら、
同じ近松物の映画化作品の
「心中天網島」や「曾根崎心中」のように、
もう少し主人公二人の情感を
濃厚に描くべきだったと思う。
この作品では中盤での、娘に対する
「そなたがいやなら母が夫に持ちたい位」
とのおさゐの発言だけでは、
悲劇に至る伏線になり得ていない。
ここは作品の冒頭から二人の情感の伏線を
張り巡らせるべきで、
原作がどうなのかは分からないが、
せめて演出としては描くべきでは。
そうでなければ鑑賞する立場としては、
二人への共感は生まれ難く、
作品への評価にも影響したような気がする。
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