無宿<やどなし>のレビュー・感想・評価
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刑務所から出所した二人の男。穴吹錠吉(高倉健)は仇討ちを、駒形玄造...
刑務所から出所した二人の男。穴吹錠吉(高倉健)は仇討ちを、駒形玄造(勝新)は海底に沈む軍の大金を引き上げるのを目的にしていた。
海から引き上げるのは一人では出来ず、潜水もできる錠吉に手伝って欲しいと頼むんだけど、
仇討ちストイック。ヤクザ相手にして死なれたら困るといろいろ邪魔したりする玄造。
女郎屋から足抜けしたサキエ(梶芽衣子)も加わって三人で海底の大金を引き上げようとするも殺されちゃうという身も蓋ない話。
ほとんど高倉健は一人行動で、勝新と梶芽衣子が一緒にいるかんじで話しが進む。やたらムーディーな音楽が流れこの物語に合ってない。アランドロンの「冒険者たち」のオマージュたからなのか。勝新と梶芽衣子のロードムーヴィー的なところは非常に良かった。
容赦ないラストで、いきなりだ。
二大スター
もはや再現できないので、残念に感じる作品。健さんと勝新の共演とはいえ、ほんとうに同じシーンで絡むのは20%ぐらい。スターも中年になって、躍動感あるシーンもないし、梶芽衣子との絡みもどっちもガツガツせず。お互いに遠慮があるのかなあ? ラストシーンも共倒れで終り、きっと興行的にも冴えなかったのではないかと想像する。
ただ、お二人の演じてきた役どころ像とか風格は特徴的に映っているので、もう少し強調しても良かったのではないか。
時代を感じます
勝さんが健さんに声掛けして実現した企画、二大スター競演の話題作ではあるが絡みは少ない。
健さんは相変わらず寡黙なやくざのワンパターン、勝さんは芝居に関してはおれの方が上手いと言わんばかりのはしゃぎぶり、宝探しでハッピーエンドかと思いきや最悪の結末に戸惑うばかり。
ムショ帰りの日陰者に足抜け女郎の放浪劇で芸術祭参加作品とは何かしっくりこないのですが邦画界もテレビドラマとの差別化に頭を痛めていたのでしょう。
『ソナチネ』の原点?
総合65点 ( ストーリー:65点|キャスト:75点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
物語は普通の任侠時代物に、一捻りを効かせた冒険談の中に人の安らぎと儚さを加えて混ぜたもの。殺伐とした世の中での生活と、そんなことは全く感じさせない浜辺での生活があり、その落差が激しい。前半の殺伐とした無法な雰囲気から一転して、後半は美しい浜辺で子供のようにはしゃぎながら宝探しをする幸せそうな姿に心が洗われるような感じを受ける。「宝物が出んでもこがいな毎日が続いた方がええわ」という女の科白が印象に残る。そしてそれを否定する結末が儚く寂しい。
物語の細かいところはどうでも良いらしく、ちょっとした動きや科白があるとすぐに音楽が入り雰囲気を作り出そうとする。俳優の演技と存在感に大きく頼る作りになっている。そして実際に俳優たちの存在感があった。2人の大物個性派俳優の間にある女が潤いを与えていた。
殺伐とした日常生活と浜辺ではしゃぐ姿の差が、北野武監督の『ソナチネ』に似ている。もしかすると北野監督はこの作品を意識したのかもしれない。
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