劇場公開日 1959年6月9日

「黒澤明がパクった」野獣死すべし(1959) タンバラライさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5黒澤明がパクった

2024年9月1日
PCから投稿

絶対に感情移入できないはずの主人公に感情移入して見れる。一体なぜなのか全くわからない 。この男、何が目的でやってるのかもわからない。 なのに面白い。確か・・・ 原作はこういう話じゃなかったような・・・。多分これは脚本を読んでも全く面白くないでしょう。 こういう映画がいい映画なんだと思うんですよ。 つまらない 脚本から面白い映画を作る。 それこそ映画の醍醐味。参った。
シャープな陰影の白黒画像。地味な音楽の使い方。地味なカメラワーク。そして 何と言っても全てが 仲代達也。・・って感じですか
これの翌年 公開された 黒澤明の「悪い奴ほどよく眠る」は これのパクリ・・いやマネでしょう
原作は主人公がどうしてこういう人間になったかという経緯とか 動悸がしっかり描かれてるが この映画にはない。 わざとそこんところをカットして ホラー映画的に不気味な人物として描き出した。それが成功している。 おそらく見ているものはこの主人公にではなく刑事の方に感情移入して見ているのだろう
一番印象に残っているのは 握手のシーンだ。相手に対する敵意 と反感 それと同時に何か 同じ敵と戦っているという 戦友のような・・・ そんなものをそこから 感じた。 迫力のある素晴らしいシーンだった
一方 黒澤明の「悪いやつほどよく眠る」は 脚本家が5人も集まって書いてるというのに どうしようもない。 くだらないファミリー ドラマになっちゃってるし ターゲットのキャラクターが違うというのに同じ方法を繰り返し使っている。 全くもって馬鹿げている。小津安二郎 にこき下ろされたのはその辺だと思う。 しかし一方で 彼らは素晴らしい脚本もいくつかものにしている。いい脚本が書けるかどうか っていうのは本当に不思議なものだ

タンバラライ