「淡々と描くことが逆に暖かみを感じる」息子(1991) 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)
淡々と描くことが逆に暖かみを感じる
淡々と描いている中に、しみじみと深い愛情のような暖かみの感じる映画。
永瀬正敏演じる次男と和久井映見演じる娘が婚約に至るまでの過程をすっぽり省いていて、あれ?どこか早送りしてしまって見落としたのか?と思ったくらい。
このとき、これは父親の主人公の物語なのか、三國連太郎の主役の映画なのかと思い、そのままラストは三國連太郎のカットの流れでエンディングとなって、そうか、これは息子を思う父親の話しなのか、父親が主人公だったのかと思った。
最後のシーン、雪に閉ざされた岩手の一軒家に帰ってきた三國連太郎演じる父親が心臓発作か何かで亡くなってしまうのではないかとドキドキっとしたけれど、そのまま淡々と家屋の広角カットで終わるところもリアルで逆にほのぼのとした。
まるで、その家族を傍から見ているようなそんな感じにさせてくれるリアリティのある映画。
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