宮本武蔵 般若坂の決斗のレビュー・感想・評価
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【”強いばかりが、兵法ではない。そして、奈良の大掃除。”今作は、武蔵が、剣を極めつつ人としても成長する様と、少林寺もビックリの棒術僧院での闘いと、僧院の高僧との遣り取りも良き作品である。】
■白鷺城の天守にこもって3年が経った。城主、池田輝政から”たけぞう”は宮本の姓を与えられ。名も武蔵(ムサシ)と改め、剣の旅に出ることにする。
970日も、健気に待っていたお通が動向を願うも、武蔵は彼女を幸せにできないと考えてひとり旅立つのであった。ツメタイ、武蔵であった。
そして、京の吉岡道場に武蔵が現れ、門人数名を破ったが故に、恨みを抱えた吉岡門下が武蔵を捜し始めるが、彼は奈良へ向かった後であった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・いやあ、初作も面白かったが、今作は更に面白い。何と言っても、冒頭垢だらけだった武蔵はイキナリ、スッキリ美男でパリっとした服装になっており、言葉遣いも身の振る舞いも一流武士になっているのである。
石の上にも三年だよね!
■で、吉岡一門との確執を匂わせつつ、舞台は奈良へ移るのである。向かった先の宝蔵院という棒術の僧院のシーンが少林寺もビックリのシーンで、凄かったなあ。
順番を待っている野武士たちの前で、阿巌という剛腕の棒術の遣い手の僧が一人の野武士をあっと言う間に叩きつけ、ひくひくしている野武士を見て、ビビりまくる野武士たちの中、名を呼ばれた武蔵は、阿巌を一撃で斃すのである。
そして、宝蔵院の高僧、日観(月形龍之介)に呼ばれて、”お怪我は?””即死!”と言うシンプルな会話を交わした後に(チョイ、笑える)、日観と交わす”兵法”の話も深かった。
”お主は、強すぎるが故に、殺気を出し過ぎているのだよ。”
<そして、武蔵を使って一儲けを考えていた奈良で悪事を繰り返していた野武士たちと宝蔵院の僧兵たちに、武蔵は取り囲まれるも、僧兵たちは野武士たちを次々にやっつけて、武蔵が”何故、私の助太刀をしてくれたのですか!”と問うと、日観は”なーに。奈良の大掃除をしただけだよ。”と莞爾と笑い、死者のために石に”合掌。妙法蓮華経”と書き、武蔵の弟子となった第一作でセコかった池田輝政の臣下青木(で、没落・・。)の息子に死者の上に置けと言って去るのであった。
そして、武蔵は何かを叫び(と言うか、何を言っているのか、音声が悪くて分からない・・。(涙))で、初作に続いてドーン!と【終】と出るのである。
このシリーズ、ムッチャ面白いなあ。あと、三作もあるんだよねえ。じゃーね!>
宮本武蔵・視覚化の決定版②
子供との旅は後年の子連れ狼の原型を思わせます
東映100作品目の記念映画
今回は普通に時代劇となり、あれこれ考えることもなく楽しめます
子供との旅は後年の子連れ狼の原型を思わせます
ラストシーン
殺して置いて、合掌念仏?違う!違う!違う!
武蔵の絶叫で終わります
剣の道と人間を高める道の矛盾が、武蔵の胸中で発露した瞬間でした
油阪はJR奈良駅のすぐ近くの地名です
宝蔵院は今の奈良国立博物館の場所にあったようです
その敷地内に宝蔵院流鎌槍発祥の地と刻まれた腰の高さも無い小さな碑が残るのみです
毎年秋の正倉院展はここで行われますので、ついでにご覧下さい
般若坂は今はコスモス寺として名高くなった般若寺の境内です
秋にはコスモスの花が咲き乱れます
そこにこれまた見落としそうな小さいひざほどの高さ石碑があります
般若坂の決闘の供養碑であると説明書が脇にあります
近鉄奈良駅から北に2キロほどのところ
山に向かって登っていく坂道が続き、煉瓦作りで有名な旧奈良少年監獄所の裏手にあります
先程の奈良国立博物館からタクシーで向かってもさほどの距離ではありません
般若寺の周囲は今では普通の住宅街です
ロケ地の芝生の原は奈良公園の東の奥の方のようです
シリーズ第2弾
内田吐夢監督と中村錦之助の宮本武蔵シリーズ第2弾。
隠匿生活970日。人間的な成長を遂げ武蔵(たけぞう)から武蔵(むさし)と改め人間形成の旅を始める。
その為にお通さんを振り切ってまでの旅。
直接武蔵(たけぞう)時代に縁が在った人物達との再びの縁は、武蔵(たけぞう)の命を狙うおばばのみ。
それでも多くの縁の在る人達が間接的に武蔵(むさし)と絡み合う。
吉岡一門との再戦を約束し、舞台は京都から奈良へ。
荒れ放題の奈良の街並みを横目に見て、武芸を極めんとする錦之助武蔵。
その姿に、「御身は強すぎる」と何故か弱くなる勧めを説く月形龍之介。
作品中白眉の錦之助=龍之介ががっぷり四つに組んでの演技合戦は見所充分。僅かの出演場面だけで、その存在感を存分に見せ付ける月形龍之介の貫禄在る演技力が素晴らしい。
映画は最後にワイドスクリーンをたっぷりと使った、般若坂の決闘のクライマックスへ。
東映時代劇としては珍しく、身体に槍が突き刺さり。血飛沫が飛び、首も飛ぶ場面に若干の違和感を感じつつ。最後に利用され騙された怒りを露わにする錦之助=宮本武蔵。
“人間として…”との自分探求の旅は怒りの“無情感”を抱いて更に続く。
武蔵(たけぞう)時代を知る者達との縁は…。
そして、やがて現れる“あの男”との縁はいつの日か…。
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