劇場公開日 1964年1月15日

乱れるのレビュー・感想・評価

全24件中、21~24件目を表示

4.0因習の中で揺れて乱れるヒロイン

2019年7月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

結婚後まもなく夫が亡くなり、その後18年間、家業の酒店のために身を粉にして尽くしてきた未亡人礼子と、義弟(夫の弟)の悲恋がベースになった物語。1964年の成瀬巳喜男監督の作品で、脚本は松山善三氏(主人公高峰秀子さんの旦那さん)。

成瀬巳喜男氏の映画は3本目の観賞になります。
『歌行燈』、『浮雲』、『乱れて』の順に観ました。『浮雲』ほど重苦しさはないものの、時代の因習にのみこまれた「悲恋」で、突き刺さるラストでした。

礼子が「次の駅で降りましょう」と幸司と一緒に温泉宿へと繰り出して、「女」と「未亡人の立場」の間で揺れ動き、結局は寄り添ったところで「堪忍して」と幸司を突き放してしまう。なんと残酷な…と思えども、「僕はずっと姉さんが好きだった」と一途に進む幸司も向こう見ずで見てられない感はあります。

『乱れる』というタイトルがすごくて、どんな映画なんだろうと思ったが、幸司の強いアプローチで礼子の心が「乱れる」ということなのか。幸司もまた、姉さんが相手にしてくれず、燃えたぎる気持ちをどこにどうぶつけていいかわからずに、乱れているようにも思えました。

18年間も、ある意味、操を守り続け、お家のために働き続けた礼子。幼少の頃より息子のように、弟のように接してきたといえども、幸司の深い思いやりや優しさや一途な思い、ストレートな告白を受けたりしたら、女を刺激されて「乱れて」しまうだろうなあ。けれど、禁欲的で静かに乱れているところが、下手なメロドラマになっていない。

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mitty

4.0姉が女に変わる時

2019年7月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

結婚したばかりの夫は戦死し婚家に残された嫁というのは、当時かなりいたんじゃないかと推察する。
実家に戻ったひともいただろうし、礼子さんのようにそのまま婚家に残ったひともいただろうし。
婚家を離れるか?止まるか?
その時、大きな判断材料になるのは、子どもの有無だったんじゃないかなあと思う。
礼子さんは結婚して半年で夫は出征し、こどもはいなかったけれど、夫の戦死の公報、空襲、店の再開。
毎日毎日必死に働いてきて気付いたら、18年の月日が流れていたということだったんじゃなかろうか?
礼子さんは幸司の7歳の時から成長を見守ってきて、
幸司から想いを伝えられるまで、彼を男としてみたことはなかったんだと思う。
年齢がもっと近ければ、もっと早い段階で意識しただろうけど(夫亡き後、夫の兄弟と結婚した女性の話もよく聞く話)。
幸司に想いを告げられて、初めて幸司をひとりの男として見た。
だからこその礼子さんの苦悩であり、
彼女の心が乱れたのだ。
そして、自宅を離れた時に、もう一段階、礼子さんに心境の変化があったのだと思う。
若さゆえに真っ直ぐに想いをぶつけてくる幸司を演じた加山雄三は適役だし、しっかりしたお嫁さんだったはずの礼子さんの心の変化、乱れを表現した高峰秀子は流石。
スーパーマーケットの進出で地方の商店街が廃れていくのも、この時代が始まりだったんだなあと興味深い。
それにしても『乱れる』というタイトルの秀逸さよ!

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arakazu

3.5奥ゆかしい日本情緒

2018年7月4日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

先日銀山温泉に行ったので。中盤までは加山雄三のクズ男加減にイラついてたけど、クライマックスは奥ゆかしい日本情緒全開でとても素敵な作品でした。(若い頃の加山雄三ってあまりお芝居上手じゃないのね…)

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みな

3.5是非、たくさんの人に観てほしい

2014年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

1964年、高峰秀子43歳、加山雄三30歳のモノクロ作品。

高峰秀子は夫を亡くした未亡人。その夫の弟が加山雄三。

人間ドラマであり恋愛ドラマ。衝撃のラスト。

ここでは多くを語らないが、是非見てほしい。

高峰秀子の表情の演技。高峰秀子のエロさが画面に滲み出ます。

昔の監督は女優の良いところを引出のが上手いですね。

演出もしっかりとしていて、加山雄三はハマり役でした。

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