「切断」未完の対局 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
切断
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1946年に況易山(孫道臨)が日本にやってきて、息子阿明を探す。そして、1924年から北京において対局する松波(三國)、戦争の悲惨な現状を描きつつ、阿明が日本で成長する様子と中国に残された家族の物語。時系列をかなり触りつつ過去と終戦当時が交錯する。
日中国交正常化10周年における、日本の贖罪を見事に描き、翻弄される日中の一般大衆の悲惨な運命を丁寧に描いていた。南京大虐殺(4万5千と言っていた)の史実もしっかりとらえ、祖国を思う阿明を中心に愛国の精神もよく伝わった。碁に打ちこむだけの人生は戦争によって両者が引き裂かれ、怨恨だけが残ってしまう・・・阿明は松波の弟子となり、天聖位を掴み取るが、日本に帰化せよという軍の命令に背き、密出国を企てる。松波が阿明を殺したというあやふやな情報を信じた易山は彼を殺そうとまでしていたが、戦死したと言われ無念のまま帰国。実は、松波は召集され中国で易山と対峙していたというラストの回顧シーンがすごい。孫の伊藤つかさの演技もアイドルながら素晴らしい素質を感じたけども、その後の回想での指切断シーンが強烈なのだ!
残念なのは青年期の阿明。幼い頃からずっと日本で暮らしているのに日本語がたどたどしい。松波の妹三田佳子が年を取らないのも不自然。紺野美紗子の演技やベテラン俳優はとてもよかった。
反戦映画というよりは、侵略戦争贖罪映画。今公開されたとしたら「自虐史観」とか言われるんだろうけど、だからどうだってんだ・・・てな感じで、こんな映画もあっていいと思う。
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