「脱税とのスリリングな対決!」マルサの女 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
脱税とのスリリングな対決!
"マルサの女" シリーズ第1作。
第11回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作。
レンタルDVDで鑑賞。
おかっぱ頭には常に寝癖、顔はソバカスだらけ。一見うだつの上がらない外見でも、不正を見抜く観察眼と摘発までの証拠固めの手腕は超一流な(金田一耕助に通ずるものがある)板倉を、伊丹十三監督の奥様・宮本信子が好演していました。
仕事への情熱は人一倍で、心の底から仕事が大好きなんだと感じました。仕事は出来る反面、息子のダイちゃんの世話は母親に任せっぱなしの様子。そのことで悩む姿も見せ、単なる仕事人間では無いキャラクター造形が巧みだと思いました。
権藤も単なる悪人じゃないところがミソ。内縁関係の女(岡田茉莉子)がいながら特殊関係人(愛人のこと)も複数人いたりと、女性関係は爛れていますが、裏社会と繋がってまで脱税を働いているその理由とは、一人息子への愛情故でした。
息子に何不自由無い生活をさせてやりたい。自分が死んだ後も困らないように、財産を遺してやりたい。なんと云う親心なのか、と…。とても人間味があるなと思いました。
子供のことで悩みを抱えている共通点から、敵対関係を超えた友情で結ばれる権藤と板倉のやり取りが沁みました。
権藤と喧嘩して家を飛び出した太郎を、ガサ入れの最中にも関わらず必死に追い掛けて慰める板倉の優しさと来たら…
脱税の手口の巧妙さに恐れ入ると共に、そこかしこに漂うバブル期の匂いを興味深く感じながら、摘発までの攻防がスリリングで終始引きつけられっぱなしでした。
[余談]
クライマックスにて、銀行支店長に吼える花村統括官(津川雅彦)が痛快だし、脱税に関わっていた議員からの圧力の電話をいなしてかわす査察部管理課長(小林桂樹)も絶品でした。
[以降の鑑賞記録]
2023/05/13:TOHOシネマズ西宮OS(午前十時の映画祭13・4K)
※修正(2023/03/01)
talismanさんへ。
コメントありがとうございます。
ありましたね! 初めて板倉が権藤のラブホテルを視察したときでしょうか…? すみません、記憶が曖昧です(笑)
こんにちは!山崎努が、このシーツの色(黒だか赤だったか…)、いいでしょう?女性の肌が一番美しく映えるんですよ、と、宮本信子に言ってた場面、ありませんでしたか?この「マルサ」で唯一&一番印象的なシーンで強烈に頭に刻まれました。