劇場公開日 1963年8月11日

「きのこランドにようこそ」マタンゴ 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0きのこランドにようこそ

2024年9月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

知的

初鑑賞

1963年8月公開作品
同時上映『ハワイの若大将』
見事な隠と陽

監督は『ゴジラ(1954)』『空の大怪獣ラドン』『地球防衛軍』『ガス人間第一号』『モスラ(1961)』『キングコングの逆襲』の本多猪四郎
脚本は『空の大怪獣ラドン』『地球防衛軍』『ガス人間第一号』『キングコングの逆襲』『ゴジラ対ヘドラ』の馬渕薫

粗筋
東京を離れヨットでちょいと船遊びと洒落込んだ青年実業家笠井雅文と愛人で歌手の関口麻美
同行したのは笠井産業社員の作田直之に笠井お気に入りの若手推理小説家吉田悦郎
さらに笠井の友人で大学助教授の村井研二と婚約者の相馬明子
そしてヨットのスキッパー兼クルーの小山仙造
お約束の嵐にあい機材は損傷し使い物にならずマストが折れてしまったヨットは霧深い南の無人島にたどり着く
島の反対側には古い難破船があり中の資料によればキノコは食べてはいけないらしい
湧水はあるが食料になるようなものは島にはなく鳥さえ寄ってくることはなかった

冒頭唯一日本に生還してきた村井研二の背中から
彼の証言という形で

マタンゴとはママダンゴというキノコから拝借したネーミング

あの「マタンゴ島」はマタンゴというキノコの島
マタンゴを食べた人間はマタンゴ人間になってしまう
他の動物にしても同じことが言えるだろう
だから鳥も寄りつかない
鳥がキノコを食べるかどうかは知らないけど

とにかくなかなかマタンゴの怪物が登場しない
それが良い
それこそホラー

オープニングクレジットで天本英世の名前が出るが顔も出さないし声も出さない
芝居は人影だけという稀有なケース
マタンゴ人間たちの着ぐるみは全て別俳優だろう

アメリカならゾンビだろうがキノコっていうのは日本人らしい発想かもしれない
正直このては決まってゾンビ系ばかりで正直飽き飽きだったので半世紀以上昔の作品だが逆に新鮮で今の技術でリメイクしても良さそう

驚きなのは「マタンゴ島」漂流メンバーの俳優陣が土屋小泉以外御健在という事実
ちなみに久保明は『あばれはっちゃく』シリーズの先生役でお馴染みの山内賢の兄

最後のオチも良い
良作
63年の邦画だと考慮すれば上出来の部類

人間らしさってなんでしょうね
人間らしさを追求したら人間らしさが失われるのではないでしょうか?

配役
城東大学心理学研究室助教授の村井研二に久保明
村井の教え子でが婚約者の相馬明子に八代美紀
笠井産業の社長を務める青年実業家の笠井雅文に土屋嘉男
歌手で笠井の愛人の関口麻美に水野久美
笠井産業の社員の作田直之に小泉博
新進の推理作家の吉田悦郎に太刀川寛
臨時雇いの漁師の小山仙造に佐原健二
難破船内の黒い影に天本英世
警察関係者に草間璋夫
警察関係者に日方一夫
警察関係者に手塚勝巳
東京医学センターの医師に熊谷二良
東京医学センターの医師に岡豊
東京医学センターの医師に山田圭介
東京医学センターの看護婦に林光子
東京医学センターの看護婦に一万慈鶴恵

野川新栄