「過去一泣いた。概ね原作どおり」鉄道員(ぽっぽや) さば缶のWi-Fiさんの映画レビュー(感想・評価)
過去一泣いた。概ね原作どおり
家族の葬式くらい泣きました…。
すぐに原作買って読みました。
若干の相違があって面白かったです。
全体の雰囲気ですが原作が「ある鉄道員に起きた不思議な出来事」で、映画が「鉄道員・佐藤乙松の一生」といった感じでした。違いを上手く説明できませんが、高倉健かそうでないかの違いくらいかと思います。
(でも原作の乙松もかっこいいと言われてた)
また原作ラストの、仙次や同僚たちが雪子の霊を死神なんじゃないかと囁くシーンはカットされており、大団円にして終わらせたいという意図を映画には感じました。
雪子の存在自体は乙松しか確認しておらず、乙松が死に際に起こした奇跡ともとれるし、死に際に見た都合のいい妄想ともとれるところが、ファンタジーを認めない人々にも受けいれ易くてよいのではなかいかと思います。
それにしても広末涼子が美人すぎる。
また細かいところでは雪子の持っていた人形のタイプが違いました。
また志村けん氏が演じた臨時工やその遺児・敏行は映画オリジナルのキャラクターでした。
しかし後に引き取った婦人が営む「だるま食堂」は「だるま屋」として原作にありました。一度だけ出たワードから話を広げており、関心しました。
敏行の存在は当時の情勢や、炭鉱の危険性を表しており、佐藤夫妻の人生模様を肉付けしただけでなく、子どものいなかった2人にとって救いになったでしょう。本当に良い設定だと思います。
乙松の出棺のときに、実の息子のように可愛がった敏行や、仕事仲間としても深い関わりのあった秀男(仙次の息子)が棺を運んでいるシーンは、子どもはいなかったが人に恵まれたと言った乙松の一生を表しているようで、涙が止まらなくなりました。
全体を通して不快に思う登場人物がおらず、それぞれが丁寧に描かれており役者さんの演技もあって、皆好きです。
皆が皆この作品を観て泣くわけでは勿論無いですが、貰い泣きしやすく、また個人的に佐藤夫妻に若干共感するところがあり、私は後半から泣きっぱなしでした。主人公が皆に見送られながら死ぬところも私好みのラストなのかもしれない。
静枝が亡くなって乙松が静かに泣くシーンと、敏行の門出のシーン(立派になったなぁとなぜか親目線)と、女の子の正体が雪子だとわかったシーンと、乙松がホームで倒れているシーンとその後の出棺のシーンで泣きました。
同じ人いるかな。