「要するに私、映画批評に関してはずぶのド素人ってわけ そして鬱系の胸クソ映画でした・良い意味で」ブルークリスマス 野球十兵衛さんの映画レビュー(感想・評価)
要するに私、映画批評に関してはずぶのド素人ってわけ そして鬱系の胸クソ映画でした・良い意味で
物語冒頭の怒号飛び交うTV放送の科学者会議が『ゾンビ』のテレビ局のシーンを思わせて、なんだか面白そげじゃないですか。
ちょいと調べてみると、私の好きな映画の『肉弾』や『大誘拐 RAINBOW KIDS』の岡本喜八監督の作品じゃないですか。(超巨匠っぽい方なのに、他の作品はまるで存じ上げないのですね…)
しかも脚本は、あの『北の国から』シリーズの倉本聰さんじゃないですか。(こちらも超巨匠っぽい方なのに、他の作品はまるで存じ上げないのですね…)
要するに私、映画に関してはずぶのド素人ってわけ。
SF作品なのに、なんとまぁ異色×異色コラボレーション映画のようで期待できます。
前情報を見ると、映画の面白さは半減すると思うものの、ほんの少しWikipedia先生に教えを乞いました。
すると「特撮を一切使わないSF映画」を目指した意欲作ということじゃないですか。
ゴジラが一切登場しない『シン・ゴジラ』みたいな感じ?
俄然興味が湧いてきて視聴を続けます。
レビュー冒頭の『ゾンビ』云々…は、某博士の「破天荒でどうも正常な科学者の常識からすると狂ったとしか思えない、馬鹿馬鹿しくて怒る気にもなれない内容」の講演だったそうです。どうやらUFO(本作では“ユーフォー”じゃなくて“ユーエフオー”の呼称なんですよ)の実在を訴えていたようで。それで怒号が飛び交ったってわけ。
どうやら世界規模で、何か大変なことが起こっているそうな予感でスタート。
ここでタイトルばーん!【ブルークリスマス BLOOD TYPE:BLUE】
Wiki先生によると、エヴァの使徒の認識パターンが青なのは、この映画に着想を得ているそうな。
あとね、カントリーミュージックの曲名のようですね。
『シン・ゴジラ』みたいな感じ?って書いたじゃないですか。
本当にその通りなんですよ。
登場人物や場所が出てくるたびに、いちいちキャプションで説明してくれるです。
物語に戻りますね。
UFOの実在を訴えていた博士が何者かに拉致られちゃったです。
そうこうするうちに、世界各国にUFOが出現、それに遭遇した人の血が青くなるってわけ。
拉致られちゃった博士の行方を追う国営放送の報道部員の南さんって人が、その件を知るわけ。
それを世間に公表しようとするものの、放送局に政府の圧力がかかって、無理ゲーになっちゃう上にパリへ左遷?栄転?させられちゃうわけ。
青い血の人間が世界中で急激に増加する事実を各国の政府が隠匿するんですが、その裏には、異星人への疑いに不安を膨れ上がらせた主要国指導部による謀略が隠されていたわけ。
『スター・ウォーズ』によるSFX映画ブームの真っただ中にあって、特撮映画の本家である東宝が「特撮を一切使わないSF映画」を目指した意欲作として知られるらしいです。
[Wiki先生いつも乙]
それで、世界規模で人権の一切を否定された青い血の人々に降りかかる惨劇の数々を描いてる映画ってわけ。
要するにホロコースト物みたいな感じなの?
(実際に劇中でヒトラーのナチズムについてのTV放送があるんですが)
いつもクソレビューがめっちゃ駄文・長文になっちゃう反省から(既にもう十分長いよ!)今回は真っ当な出どころからのあらすじを抜粋して、先に書いておきましたよっと。
じゃあ以下、ディテールと感想を書いていきますね。
本当に特撮シーンが徹底的に省かれているの。
唯一、物語中盤で模型っぽいF104戦闘機一機が空を飛ぶカットだとか、そのコックピットからオレンジ色の光が見える程度が、ぎりぎり特撮に見えるかな?と思う程度で。
東京某所に現れたUFO群も描写は一切なし。それを見て右往左往する人々のシーンがあるくらいなの。
あとね、この映画はサブリミナル的に、様々なカットがコンマ何mm秒かで流されてくるの。それがなんだかとても怖いの。
前半パート主演の仲代達也さんと言えば『切腹』のイメージが強烈すぎるし。
だから、終始不穏で、おどろおどろしい雰囲気を感じてしまったの。
したらね…この映画もうヤだよ!まさにナチスがユダヤ人に行ったようなことやらかしてるの!
青い血液の人々に!見てらんないよ!
モノクロの記録映像映すシーン以外は、モロにそういうの映してるわけじゃなんだけれど説明してるの。
生体解剖だとか、ロボトミー手術だとかやらかしていることを。
淡々としたナレーションで、青い血液の人々に何をやらかしたのか逐一解説してるの。
聴いてらんないよ!あからさまに“強制収容所”に送られるとまで語られてるの。
そんな政府へ反対活動やってる人たちへの、血まみれで過剰な暴力を振るうシーンだとか。
とにかくエグいの。
UFOが大挙地球に飛来するシーンもモノクロの写真だけで説明してるの。
これがまた不気味な絵面なの。
事ここに及んで気が付くわけですよ。
この映画SFなんかじゃなくて、鬱系の胸クソ映画だってことに。
青い血は侵略者で、もはや人ではないと。仕組まれた反乱軍にされていると。
世界各国政府が、人々にそう認識させるために仕組んだ謀略の数々があると、登場人物に語らせるわけ。
むしろUFOを見た人は、様々な負の感情が消えたと語っていたです。
なのに、世界各国政府は、UFOを一方的に侵略者とみなしてしまったのですね。
侵略者は反乱軍を結成して抵抗してくると、偽の世論をプロパガンダで作り上げて徹底的に弾圧するのですね。
クリスマスイブの青い血抹殺命令前夜に、自衛隊の特殊部隊?に激が飛びます。
「抵抗者、並びにそれを庇う市民、シンパは家族友人の区別なく射殺しまって差し支えない!」
「これは殺人ではない!相手は人間とは、全く異なるものである!」
とまで言うんですよ。
そして運命の日12月25日のクリスマス。0時ジャスト。
世界各国で、青い血の人々は賛美歌をBGMに次々と銃殺されていくです。
それで終わり。全く救いなし。
UFOの飛来の目的や青い血についての説明も一切なし。
こういう不条理で鬱な映画って胸クソなんだけれど、インパクト大だから割と好き。