復活の日のレビュー・感想・評価
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本作が現実になろうという今こそ本作を改めて観るべきです あなたの本作への評価も劇的に変わると思います
現在2020年1月27日です
丁度1ヶ月前、中国武漢から始まった新型肺炎の猛威は本作の序盤に描かれるイタリア風邪が発生したシーンの辺りです
本作では、このあとパンデミックとなり人類は滅亡します
ただ一カ所南極を除いて
昔に観た時は、大して良い映画とは思わなかった
現にほとんど何も記憶が残っていません
あるのは観たということ、センチメンタルに流れた残念な出来の映画だったという印象だけです
しかし、この新型肺炎の猛威の前に改めて本作を観なおした時、感動が襲ってきました
何だろう、当時は何も刺さらなかったのに、強烈に胸に迫るものがあります
やはり新型肺炎の現実の恐怖があるからです
日本人SF作家の第一人者小松左京の1964年の原作の凄さなのだと思います
パンデミックなどという言葉は原作当時はもちろん、本作公開の1980年にも無いのです
原作から56年、本作公開から40年
その通りの事がいま正に進行しているのです
ここから現実が終息に向かうことを祈るしかありません
しかし小松左京の日本沈没は東日本大震災として半ば現実となっているのです
昔感じたセンチメンタル過ぎる印象は、本作の世界の絶望とほんの僅かな希望を自分のものとして消化できていなかったからだったのです
いまは分かります
恐怖を感じているからです
自分、家族、小さな子ども達
どうなってしまうのだろうという不安
深作欣二監督は原作と脚本だけで、そこまで見通して撮ったということなのです
なんというものすごい演出力だったのか
今わかりました
ワシントンから南米最南端まで踏破する主人公はモーゼの姿そのものです
たった一人で約束の地に向かうモーゼです
しかし彼の民はそこでモーゼを待っていたのです
約束の地はそこだけではなく全地球が彼らに開かれた瞬間なのでした
木村大作のカメラによる南極ロケシーンは素晴らしい雄大な映像が撮れています
さらに本物の潜水艦と砕氷船を使用してちゃちさは微塵もありません
ホワイトハウスのセットも良い出来です
日本映画の域を超えています
特に潜水艦と砕氷船、南極ロケを東宝特撮部隊が担当したとしたらどれだけ情け無いものになっているか容易に想像がつきます
そのシーンまで目に浮かんでしまう程です
本作が現実になろうという今こそ本作を改めて観るべきです
あなたの本作への評価も劇的に変わると思います
コロナウィルスの流行が始まった時、会社で「『復活の日』だ!」と叫んでしまった。でも、本当に偉いのは原作者の小松左京。
草刈正雄のイケメンっぷり
生きることへの絶望感と疲労感
総合70点 ( ストーリー:65点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
世界が滅びていく場面への描き方が直接的ではなくて受ける印象が弱いし、ホワイトハウス内でのやりとりはかなりしょぼく、演出に迫力があまりない。物語の設定や整合性にも変なところが多いし、欠点はそれなりにたくさんある。だがこれだけ壮大な話を描くのだから、それは致し方が無いところ。
それと物語上では南極基地をはじめとして世界が描かれているので、主人公や特定の人物が目立つということがない。草刈正雄は悪くないのだが、登場人物上でこの人という軸になる存在が薄い。これも物語全体の印象を弱くしている。
ただその中で気に入ったのは、生き残った人々の絶望感と疲労感である。殆どの人々が死んでいく中で、家族も仲間も社会も文明も科学も土地も失い、情報もなく僻地に孤立したまま自分が生きていることが怖い。全く将来が見通せなくて世界がどうやら滅びてしまったらしくて生きることへの希望が見いだせない。
その中で自分だったらどうしようかと考えるが、ここまで酷いともう生きていたくないのでさっさと死んでしまいたい。
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