「壮大」復活の日 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
壮大
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小松左京さんの凄いところは単なるディザスターSFでなく、もし最悪の事態になったら人はどうするかという読みの深さだろう、大作「日本沈没」にも伺えるがシンクタンク並みの調査、洞察力に裏打ちされているかのようなリアリティ、歴史、文化的風土に色付けされた死生観など実に繊細で奥深い。
小松さんのもしもシリーズは超弩級、パンデミックと核兵器の暴走で世界は二度滅びると言うとんでもないステージに足を踏み入れてしまった。テーマからしても米ソ冷戦の最中、警告を込めたメッセージを日本が発した意義は大きいと思う。
映画化で驚くのはキャスティングの豪華さだろう、パニック映画で一番頼りになる人といえばジョージ・ケネディさん、まさか東宝映画に出演が叶うなんて夢のようです。もちろん名優グレンフォードさんやジュリエット俳優オリビア・ハッセー、日本の多岐川さんも美しさでは引けをとりません、世界が舞台なのでバタ臭い草刈さんは打って付けでしょう、前にも後にもこんなに骨太で贅沢が通る映画は観たことがありません。まとめあげた深作さんの手腕にも脱帽ですが撮影が木村大作さん音楽が羽田健太郎さんと本物を揃えているのですからクオリティでは世界品質です。
当時、映画館で観た時は怖さだけでしたが長じて観なおすと奥深さが胸に刺さります、昨今のアニメやタレント頼りの邦画界に本作を超えるスケールの映画が出てくるのでしょうか、邦画復活の日が来るよう願ってやみません。
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