「人間の悲しい性」復讐するは我にあり ミカエルさんの映画レビュー(感想・評価)
人間の悲しい性
最近新宿ゴールデン街に飲みに行った。ゴールデン街というのはかつて青線地帯であり、非合法の売春が行われていたところだ。原作者の佐木隆三はここで飲み歩いた作家であり、ゴールデン街から直木賞作家が生まれたと騒がれた人だ。この映画で描かれている浜松の旅館はなにかこのゴールデン街を彷彿とさせる。
温泉旅館の親子は犯人を匿い、犯人の味方となった人たちである。そのような人たちでも犯人は容赦なく殺してしまう。人間とはここまで残忍になれるのか。狂気の連鎖が連続殺人犯を支配する、殺人という重い罪でも一度犯してしまうと歯止めが効かなくなるのだろうか。
今も昔も連続殺人事件は世間の格好の見世物となる。マスコミは騒ぎ立てる。なぜかいつも強い興味を持ってしまうのは怖いもの見たさだけではあるまい。自分に関係ないこととして高みの見物を決め込む人間の悲しい性である。
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