劇場公開日 1980年11月22日

「何回も見た映画」ヒポクラテスたち カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5何回も見た映画

2023年4月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

アマプラで無料鑑賞

高校生当時ATG作品を片っ端からレンタルしまくり観漁っていたが、その中でも理解し易い内容ということもあり、かなり印象に残っている方の作品。

その後アイドル映画や特撮映画で東宝縛りから抜けられなくなった?大森一樹の私的な部分が多くみられる医学生あるあるコメディ?で、理屈っぽさ満載の粗さが目立つ脚本ではあるものの、若者故の苦悩と妥協が嘘がなく誠実さを感じさせ心にグサグサと突き刺さる。

主演の古尾谷雅人や内藤剛は成人映画で何度か見たことがあった程度。
伊藤蘭は普通の女の子に戻りたく引退してからそれほど間を開けずの芸能界(女優)復帰第一作で、当時は結構避難を浴びていたように思う。
劇中で「蘭」を吸うシーンはニヤッとさせる悪戯な演出。
手塚治虫や鈴木清順などの豪華なバックアップメンバーも楽しそうに出演してくれている。

特に婦人科系に偏ったエピソードが多いが、研修用の器具や避妊具、生理用品など生々しくも監督自身が医学部出身というリアリティで見ていても非常に興味深い。

少し下の世代の自分にとっても、学生寮内での吸い殻を山にしての討論や学生運動など熱い時代をなぜか懐かしく感じさせるパワーがたまらない。

主演の古尾谷雅人はじめ多くの演者さんや監督の大森一樹らはすでに鬼籍に入ってしまい、懐かしい映画の部類には入ると思うが、自分としては色褪せない青春映画として毎回新鮮味を感じながら観てしまうまさに珠玉の一作。

カツベン二郎