劇場公開日 1949年9月19日

「昭和の轍」晩春 kakerikoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5昭和の轍

2014年10月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

幸せ

私の小津監督初見は「お早う」という喜劇だったので、2作目となる今作品が、監督本来のテイストであると期待を込めて観ました。白黒で何とも時代を感じさせる映像&音響ですが、長い間多くの映画ファンを魅了させ続けていると言われているのも納得の、何ともいえない心地よさの漂う作品でした。
美しい言葉づかい、身の振り、格子障子のぴんとした美しさ、庭を眺める洒落た縁側、等々。現代では尊いと言えるほど、さりげない日常の美意識があちらこちらにちりばめられているのです。そして、最も美しいのは父と娘、親子の情。お互いを思いやる心の清らかさ。現代と比較するのはナンセンスと思ってはいますが、それでも平成の世が描く親子図とのあまりの違いに複雑になります。
『麦秋』『東京物語』は、今作品と同様に紀子という名の女性を原節子さんが演じていて、『晩春』と合せて「紀子三部作」と呼ばれているそうです。

sonje