劇場公開日 1949年9月19日

「ザ松竹という温かみ」晩春 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ザ松竹という温かみ

2020年10月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

父の再婚候補を見る原節子こと紀子の表情の険しさに痛く感動。一瞬で切り替え、見事なものだ。紀子の結婚承諾を喜ぶ叔母杉村春子の全身表現も流石。

結婚するという嘘をついて大事な娘を嫁にやる作戦で、それを娘の友人に打ち明ける脚本は、まさにその後綿々と受け継がれる松竹の伝統芸のルーツということか。大きな温かみを感じさせた。

結婚生活、そして幸せはこれから夫婦で作っていくものと娘を諭す、父親はとても良いが、今だとこのセリフは真っ直ぐには難しいか、でも時を超える真理ではあると思った。

最初、退屈しそうであったが、結局最後までそれはなく、麦秋や東京物語と異なり、後味も心地よかった。ただ、謎解きの面白みはあまり無しではある。

Kazu Ann