遙かなる山の呼び声のレビュー・感想・評価
全6件を表示
日本人は良い人ばかり。そうさ!少し綺麗な男女は得だね。
この演出家の特徴を一言で言えば、ご都合主義の善意である。
この物語のもう一人の共演者のハ◯肇の役の男の取る程度でさえも、最高の善意なのだ。
つまり、リアルが吹っ飛ぶ位の安直で安易なストーリー展開である。
日本にとっては、東の果ての根釧平野遙かなる山は羅臼岳か斜里岳だなぁ。二つとも登った。
その思いだけが、この映画の評価できる点。
言うまでもなく『黄色いリボン』と『SHANE』と『網走番外◯』のリスペクト作品である。
そして、翌年の『北◯国から』の魁なのだ。上手く出来ている。
初見と思っていたら、どうやら二度目だった。
要約すれば『空気の読めない意味不明な愛情表現とご都合通りに進む打算』
対局にある映画が見つかった
『招かざる客』である。
脱亜入欧の日本人はそれを理解出来なけりゃ駄目だ。
『ストックホルム症候群。殺人者は殺人者。冤罪じゃないのだから』
ヨージ・ウエスタン…出会いと別れ
民子三部作第3作。
Amazon Prime Video(プラス松竹)で鑑賞。
「幸福の黄色いハンカチ」以来の山田監督と高倉健のタッグで魅せる、春夏秋冬を通した出会いと別れの物語が切ない。男は女に愛を与え、その子に強さを教えてひとり去っていく。
「シェーン」は観たことありませんがあらすじは知っていたので、本作を観始めて間も無く同作が下敷きであると分かりました。山田洋次監督なりの西部劇を目指したのかな、と…
確かに北海道の草原は西部の荒野みたいに雄大な景色だし、西部劇的ストーリーを描くにはぴったりの場所。さながら「ヨージ・ウエスタン」と呼びたくなる物語を堪能しました。
高倉健と倍賞千恵子の相性はばっちりだし、吉岡秀隆の存在感も抜群。3人の関係の深まりを丁寧に描いたからこそ、悲しさが際立つクライマックスは涙無しに観れませんでした。
護送シーンも感動的でした。高倉健たちの向かいの席に座り「待ってるからね」の気持ちを伝える倍賞千恵子とハナ肇。それに涙を浮かべる高倉健。彼らの演技に温かい涙が出ました。
ラストシーンは偶然か、必然か、大いに気になる
高倉健演ずる男の刑が確定し、網走刑務所へ護送されることとなった男の乗った列車は、終点の一つ手前の駅に停車する。発車ベルが鳴って発車寸前に、窓越しにハナ肇演じる虻田と男の目が合うのだが、これは、虻田がたまたま見つけたのか、この列車に乗っていることを知って会いにきたのか。
前者だとすると、クライマックスを盛り上げるための御都合主義の辻褄合わせに見えて不自然である。映像では、虻田がホームを速足で歩きながら車内を伺い続けて探し当てたという風にも見える。とすると、虻田は、男がこの列車に乗っているという情報をどのようにして入手したのかという疑問が生じる。男の弁護士から、裁判が終わって刑務所に送られる段取りであることを聞きつけたのであろうか。護送の日時までは分からないだろうから、当時、札幌から網走まで直行する唯一のこの列車にあたりをつけて、毎日駅まで通ったのであろうか。それなら、それも感動を呼ぶエピソードになるのだが。
Yahoo!知恵袋にこの疑問を投稿して教えを乞おうとしたが、納得のいく回答はなかったので、改めて問題提起をするものである。作品の評価を決める重大要素に着眼したと自負しているのだが、こんなことに拘る私は変人であろうか。
待っている
嵐の晩、偶然にも産気づいた牛のお産を手伝った男。それだけで命の尊さを感じとったのだろう。帰り道、息子に「父さん、いないんか?」と尋ねるあたり、孤独を紛らわせようとしていたのかもしれない。冒頭10分だけでそのままストーリーが完成してしまうくらいの重みのある演技。やっぱり健さんは渋い。
再度男がやってきたときも一線を引いて、レイプとか強盗の心配もあるはずなのに、息子武士をメッセンジャーとして意思の疎通を図るのだ。
倍賞千恵子に言い寄ってくるハナ肇の存在も面白い。レイプしそこなって報復しても健さんにやられてしまう。警部というイメージが残っているので捕まえにきたんかと思っちまった。それに新婚旅行中に寄った従兄弟の武田鉄矢や、人工授精師の渥美清など『幸せの黄色いハンカチ』を思い出す人物ばかり。場所だって北海道だ。このあたりは当時、二番煎じだと批判の対象となっていたように思う。
「人を殺したんです」という言葉がこんなにも涙を誘うとは思わなかった。もちろんラストの列車の中での倍賞・ハナの「待っている」という演出が上手くて涙が止まらなくなるのですが、後半は画面が霞んでしまうほど・・・目が痛い。
ケーン、カムバック!
『幸福の黄色いハンカチ』に続く山田洋次監督と高倉健のタッグ作。
かの名作の二匹目の…では決してない!
こちらもこちらで、これまた素晴らしい名作!
北海道。
夫を亡くし、女手一つで牧場を切り盛りする女性と、その幼い息子。
ある日、素性の知れぬ男がふらりと現れ、牧場を手伝う事になる。
真面目で実直な男と深まる交流。が、男は自分の事は何一つ語らない。
男は、ある秘密を抱えていた…。
話はよくあると言うか、予定調和。
しかし、語り口も展開も作風も、何もかも心地よい。
まずは高倉健のカッコよさが最高なまでに引き出されている。
本当に高倉健の為の役。
口数は少ないが、頼りがいがあって、働き者で、腕っぷしも強い。何か陰もあり…。
惚れるのも無理は無い。と言うより、男が惚れる漢。
倍賞千恵子も愚兄の妹を離れると、女のいい魅力を発揮する。
仄かに惹かれ合っていく二人の恋慕が、ドラマのメイン。
ハナ肇の役も最初はヤな野郎だが、ひと度分かり合えば、ちょいとウザいが、いい奴。ラストシーンに座布団十枚!
武田鉄矢の出演は『幸福の黄色いハンカチ』からの繋がりでご愛敬という事で。
また、幼き吉岡秀隆が巧く、彼演じる少年と男との擬似父子関係も実にいい。
父親を亡くし、あまり父の温もりは知らない。
母親との仲はいいが、それでも女親では開けない心の扉もある。
自然と男には開いた扉。
素性は知れぬが、まだ幼くても分かるのだろう。このおじさんが、大好きだという事が。
男も少年が可愛くて堪らないのは見てれば伝わってくる。
本当の父子のような二人の交流が微笑ましい。
本作のもう一つの…いや、真の主役は、“北海道”と言っても過言ではないだろう。
あの雄大な緑の大地、青い空と雲、地平線上の夕陽…。
北海道の大自然をこれでもか!…と、余す所無く映し出している。
日本にもこんな風景があり、こんな映像を撮れるとは…。
本当に憧れる。
話的にも風景的にも、アクション・シーンは無いが、西部劇のようなドラマを描きたかったのは明白。(話のベースは『シェーン』だろう)
高倉健が大地を馬に乗って駆るシーンなんてまさしく。(そりゃあ、スローで撮りたくなるわ)
山田洋次の溢れんばかりの西部劇への憧れと慕情。
佐藤勝の音楽も素晴らしい。
男は、殺人犯だった。
かといって、凶悪犯では決してなく、人を殺めてしまった事は許されないが、充分同情の余地はある。
ここで暮らした短い思い出を心の糧にし、男は捕まる。
ラストシーンが秀逸。
警察と共に乗った電車に、仄かに想いを寄せ合った女が突然乗ってきて、ある話が聞こえてくる。
女は息子と共にあの牧場で、“夫”の帰りを待つという。
男は必ず、帰ってくる。
地味に力強く見せる大人の荊の人生
総合75点 ( ストーリー:80点|キャスト:80点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
子供のころに初めて観たときはちょっと根暗な話だなと思ったような記憶がある。故郷を追われるように離れて自然の厳しい北国での女手一人の酪農も、陰のあるわけあり男の孤独さも、自分には縁遠くてそんなに身近に感じられない。そんなことも思いながら観ていた。
でも自分も年齢を重ねて人生の重みも多少わかるようになってきて、このような話もその重みをわかるようになってきたらしい。二人の農場生活が進んで関係が進むにつれて、だんだんと二人の人生にのめり込んできた。派手な成功人生とは程遠いとても地味な下々の話なのだけど、そこにある人の営みと人生をしっかりと描きこんでいる。
雪に埋もれて廃墟になっているような農場の映像もあったし、これで二人の関係も終わりかと一時は思ったが、最後には懸命に生きる二人に救いがあって良かった。ろくに返事も出せないのに座席の片隅から涙をこらえる健さんの態度が全ての返事になっていた。母子の農場に男がやってくる話は、なんとなく西部劇の「シェーン」を思い起こさせる。
高倉健・倍賞千恵子という主演の二人の人生の重さを演じる力量がやはり強い。子役がその後有名になる吉岡秀隆なのは気付かなかった。その他武田鉄也に加えて端役で渥美清と畑正則も出ている。
全6件を表示