遙かなる山の呼び声のレビュー・感想・評価
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必死に生きる事の美しさ、大切な人に誠実に向かい合う尊さ。男同士の友情、信頼関係。
尊敬する高倉健さんの貴重な作品を、
丸の内TOEIさんで鑑賞させていただきました。
美しい四季の移り変わりの映像、洗練された音楽。
人は時として大切な者の為に、痛みを隠しながら痩せ我慢をして生きている。
苦しい中で見付ける小さな可能性や幸せ。
他人に自分の弱さや痛みを正直に伝えることによって生まれるかも知れない新たな信頼関係。
振り返ると眩しい くらいの美しい日々。
物語で高倉健さん演じる主人公が最後に牧場を去る時に、倍賞千恵子さん演じる牧場主に挨拶するシーンがあるのですが、「人は人生で こんなに誠実に自分の気持ちを誰かに伝える機会って、何回あるんだろう。」と考えました。
貴重な作品を再上映してくださった丸の内TOEIさん、50年近く前に この作品の制作に関わられた皆様、素晴らしい作品を有り難うございました。
この作品との出会いに感謝しています。
寡黙で丁寧な言葉遣いで礼儀正しく働き者で馬に乗る人は誰もが憧れ尊敬する
黄色いハンカチよりも好き
【"もう、他人じゃないから。"幸福の黄色いハンカチ、和風シェーンバージョン。ラストの列車内のシーンでは思わず、嗚咽してしまう逸品である。】
■北海道・中標津。
風見民子(倍賞千恵子)は息子武志(吉岡秀隆)を育てながら一人で牧場を切り盛りしている。
ある冬の嵐の晩、一夜の宿を求めてひとりの男(高倉健)が訪ねて来る。
男は納屋に泊まり、牛のお産を手伝って、翌朝に出て行く。
そして夏、再び男が現れ、働かせてほしいと頼んでくる。
◆感想
・高倉健さんの、どこか影がありながらも男らしい振る舞いと、民子に対する一線を保つ姿勢を持つ男を演じる姿がとても良い。
・民子が最初は男を警戒しつつ、一生懸命に何かを忘れようとするが如く働き、武志が懐く馬を見事に乗りこなす姿に徐々に惹かれて行く様を演じる倍賞千恵子さんの姿も、当然良い。
・男は民子に言い寄る虻田(ハナ肇)と、その弟たちを軽くあしらうが、虻田はその事が切っ掛けで男を慕うようになっていく。
■だが、刑事の姿を見た男は、自ら民子に”辞めさせて下さい。”と言いだすのである。
<今作の白眉のシーンは、男が裁判所で懲役刑を言い渡され、列車で網走に護送される列車の隣の席に乗り込んできた民子と虻田のシーンである。
虻田が大きな声で”中標津で旦那を待っているんだろう!”と民子に言うシーンである。勿論、男に聞こえるように・・。
そして、男は俯きながら目尻に涙を浮かべ、同じく涙を流す女は刑事に断ってから男にハンカチを渡すのである。
思わず、嗚咽してしまったシーンである。
今作は、辛い生活をしていた男女が、偶然出会い、お互い惹かれつつ一度は別れるも、女の男への想いが心に響く逸品である。>
最高の映画。
民子3部作③
山田洋次の描く移り行く日本の景色。この作品は高倉健と言う俳優の話から映画仲間に勧められて初見した作品。山田洋次と言う監督に偏見があった。山田が出て来た頃、ATG系全盛期であり、山田が描く失われゆく日本の風景を小津から引き継いで行く時期に、その失われる風景に目を背けそこから逃れようとしていた自分がいた。その約十年後、ATG系の後を継ぐニューシネマは都市部近郊の若者たちの喪失感を描くことで山田とは真逆の視点で都市化を(故郷の喪失)を描き始める。山田の持つ計算されつくしたミニマリズムを見もしないで嫌悪していたが、この一作で山田の実力を思い知らされた。高倉健も倍賞千恵子も子役の吉岡も脇役のハナ肇も実に見事に輝かせて見せた。脱帽である。
倍賞千恵子は日本の映画界の宝だと思う。 やっぱりいつ見てもキレイだ。 風見武志(吉岡秀隆)が息子。 まじかよ? これは「男はつらいよシリーズ」じゃないよな。 渥美清も出てくるんじゃないか?
BSテレビ東京で映画「遙かなる山の呼び声」を見た。
1980年製作/124分/日本
原題または英題:A Distant City from Spring
配給:松竹
劇場公開日:1980年3月15日
高倉健
倍賞千恵子
吉岡秀隆
ハナ肇
木ノ葉のこ
武田鉄矢
鈴木瑞穂
小野泰次郎
杉山とく子
大竹恵
神母英郎
粟津號
園田裕久
青木卓
畑正憲
渥美清
3週連続!高倉健シネマスペシャル
ありがたい企画である
タイトルは知っていたが未見である。
予備知識なしで見始める。
嵐の夜の一軒家。
登場したのは牧場主の女性、風見民子(倍賞千恵子)だ。
倍賞千恵子は日本の映画界の宝だと思う。
やっぱりいつ見てもキレイだ。
風見武志(吉岡秀隆)が息子。
まじかよ?
これは「男はつらいよシリーズ」じゃないよな。
渥美清も出てくるんじゃないか?
そう思った。
深夜にドアを強くたたく音。
「雨宿りお願いできませんか」
田島耕作(高倉健)である。
一夜を風見民子宅で世話になった田島は後日また
風見民子を訪ねてくる。
「ここでしばらく働かせてほしい。」
男手が欲しい牧場、
牧場にとってはありがたい話だが、
男の素性が謎で警戒してしまう。
牧場に住み込み懸命に働く田島に対して、
やがて、民子や武志は心を開くようになる。
高倉健49才
倍賞千恵子39才
吉岡秀隆10才
渥美清52才
ラストシーンが泣ける。。・゚・(ノД`)・゚・。
上映時間は124分。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
いい作品だった。
余韻の残る終わり方
山田洋次版『シェーン』には後日譚がある
WOWOWの放送を録画して観賞。
『家族』『故郷』に続いて倍賞千恵子が「民子」という女を演じ、「民子三部作」と呼ばれている(らしい)。
が、前2作と違い本作では夫は故人である。
どこからともなく流れてきた訳アリの男。
夫亡き後の牧場を幼い息子と二人で守っている女。
『シェーン』をベースにししつつ、高倉健と倍賞千恵子の関係は『幸福の黄色いハンカチ』の前日譚ともとれる。
ロードショウ公開時は、その3年前に公開された『…ハンカチ』に感銘を受けていたので、少々物足りない印象だった。
今観直してみても、北海道独特の酪農家(それも零細)の生活が淡々と描かれていて、物語に派手な起伏はなく、ロードムービーとしてエピソードが積み上げられていた『…ハンカチ』に比べて、地味な印象だ。
高倉健が訪ねてきた兄と再会する場面で、訳アリの一端が見える。
草競馬の会場に警察が現れたことで、高倉健は倍賞千恵子に別れを告げるとともに、過去を打ち明ける。
倍賞千恵子が高倉健に想いを寄せ始めるのに反して、高倉健に追手が迫ってくる構成は、地味ながら見事な作劇。
幼い息子吉岡秀隆が高倉健に心酔していく様子は、正に『シェーン』なのだが、「人を殺したらそれを生涯背負っていかなければならない」とシェーンから告げられたジョーイ少年とは違い、吉岡秀隆少年は高倉健の罪を知らされない。
高倉健が一夜の宿を求めて訪れた最初の日の翌朝と同じように、母から持たされた報酬の入った封筒をパトカーに向かう高倉健に渡そうと駆け寄る吉岡秀隆少年に、高倉健はどんな言葉をかけたのだろうか。
カメラは離れて見つめる倍賞千恵子の後ろにあって、その言葉は聞こえない。
時が経ち、網走に護送される列車での一幕が、『シェーン』にはない後日譚となる。
そして、それこそが『幸福の黄色いハンカチ』につながる前日譚でもあるのだ。
これまで派手なアクションもなく、淡々と語られてきた物語の、このラストシークエンスが熱い感動を与えてくれる。
高倉健映画。世界でも稀な鑑賞方法。
沢山泣いて、心が温かくなって、登場人物達のこれからの幸せを願って 良い映画ってそう言うものだと思います
すぐに気づくように本作はシェーンの見事な翻案です
シェーンも実は奥さんとシェーンとのメロドラマこそがテーマだったのだと思います
そのシェーンから奥さんを未亡人にする事によって、よりテーマを明確にしています
武志のキャラクター造形と子役の吉岡秀隆が素晴らしく、逞しい健さんの肉体との対比で男児には父親が必要なのだという説得力が半端ありません
山田監督、高倉健、倍賞千恵子のゴールデントリオで、
シェーン
黄色いハンカチ
網走番外地
これらを三大噺のようにかき混ぜて高い次元で一つの物語に結実させている本当に見事な脚本です
現代に置いては、シングルマザーの物語としても観ることもできます
そんな詰まらない理屈なんかどうでもいいです
のっけから山田監督ワールドに引き込まれて、あっと言う間の2時間です
終わって欲しくない時間です
沢山泣いて、心が温かくなって、登場人物達のこれからの幸せを願って
良い映画ってこう言うものだと思います
あまりに泥臭くたってそれでいいんです
名作です
ラストシーン
健さんが黒に近い濃いグレーのジャンパーの中に着ていたのは、祭りの日に民子が買ってくれた新品のニットシャツでした
武志はおじちゃんに言われたことを守ろうと必死に泣くのをこらえていました
そこで涙腺が崩壊しました
昭和の北海道
先日ドラマ版を見て無性に再見したくなり。やはりドラマ版は本作に遠く...
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