「赤い手術着ってあるんですか?」パラサイト・イヴ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
赤い手術着ってあるんですか?
「細胞の中にはDNAを含んだ核や遺伝子を持ったミトコンドリアがある。ミトコンドリアは母親からしか伝わらない」などといった永島利明(三上)の講演。これだけでも興味深いのに、彼の妻・聖美(葉月)の幸せそうな映像。腎臓病で苦しむ12歳の少女・麻理子(大村彩子)の病室。子供たちにカタツムリの話をする浅倉佐知子(中嶋朋子)。と描写は進む。そして交通事故。脳死となった聖美だったが、腎バンクに登録していたため、移植コーディネーターの小田切(萬田久子)によって麻理子のHLAと型が一致し、移植手術が行われることになった。ひとつ条件として、永島は聖美の肝臓を取り出してほしいと吉住医師(別所哲也)に申し出たのだった。
妻を愛するあまり肝臓の細胞を培養する生物学者。その実験材料でもあるEVE細胞が浅倉に取りついて、学会で人間を滅ぼすとか何とか言わしめる。10億年も前から人間に寄生し、人間をコントロールする機会を伺っていたのだ。葉月里緒奈像は上半身裸(とは言え、レオタードみたいなのを着てる。この映画の1年後にヌード写真を発表)、直立不動で病院の廊下を駆け回る。
ホログラム的なリオナはミトコンドリアの覇権を主張し、腎臓移植された麻理子の子宮に永島の精子とともにEVEを埋め込んだのだ(よくわからんが)。クリスマスイブに生まれたから聖美と名づけられ、永島と出会ったのもクリスマスイブ。イブの語呂合わせで物語を面白くさせようとしているのだが、どうせなら風邪をひいた時もイブを飲んでたことにしろ!
公開当時はVFXがどうたらこうたらでかなり宣伝されていた作品。ともかく97年製作の割りには映像がしょぼい(特に人が燃えるシーン)。喩えるなら70年代の大林監督初期作品みたいな映像なのだ。しかし製作協力にROBOT。また、TVドラマ出身の落合監督はなぜか遠近法が好みのご様子で、病院の廊下を中心にしつこいほど登場する。
とは言え、ミトコンドリアの話は面白かったし、中嶋朋子の演説はちょっと笑えるし、思わず「みとこんどりゃー!」と叫びたくなってしまう作品でした。最後はよくわからん。愛がミトコンドリアに勝ったってことでOKかな?