「辛さを分かってあげてほしい」HANA-BI しんかいぎょさんの映画レビュー(感想・評価)
辛さを分かってあげてほしい
クリックして本文を読む
小学生の時、テレビの放送で見て全くわけわからなかったが、最近DVDで見直す機会があった。
いわゆる泣き所とかはない。しかし見終わった後に噛み締めていると、つっと涙が出てくる、そんな映画だ。
内容の話をします。
主人公は重い病を抱える奥さんを持っています。そしてその病院代で莫大な借金をヤミで借りています。
あるとき奥さんの見舞いにと言わて、張り込みの現場を離れたら、そのすきに同僚が犯人に銃撃される。ひとりは下半身不随になり、その同僚も最後は奥さんも見舞いに来なくなるなどします。
主人公は自分の大切にしていたものが次々に壊れていくなかで、そのつらさを一人で抱え込みます。
最終的には銀行強盗で借金をチャラにして、刑事も辞めて治る見込みのない奥さんと二人だけの車の旅に出ます。金をせびりに来るやくざを振り切りながら。
いきつくところまで来てしまった主人公と奥さんは、青い海を眺めながら自殺――そこで映画は終わります。
主人公はほとんどしゃべりません。でも、その身に起きている事態は普通の人が抱えきれるものではないですし、実際壊れていきます。
映画のジャケットには「その時、抱きとめてくれる人はいますか」と書かれていますが、この声にならなかった思いを観客側でくみ取れた時にこそ、この映画の神髄が見えてきます。
日本映画史に絶対残さなければならない1本です。
コメントする