花いちもんめ(1985)のレビュー・感想・評価
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ラストシーンはハッピーエンドなのでしょうか?
1985年公開
強烈な映画です
認知症アルツハイマー
1972年の有吉佐和子の「恍惚の人」が同じテーマの草分けです
1973年には森繁久彌主演で映画化もされました
本作はその作品と同じテーマを扱った傑作中の傑作だとおもいます
認知症に付いては、いまでは社会的に知られるようになり介護施設や制度も当時よりは格段に整備されたのかもしれません
それでもこの問題は解決しているわけでも何でもなく、自分の親や祖父母、もしかしたら自分のパートナーが将来なってしまうかも知れないことなのです
いや自分自身がそうなることも有り得ることなのです
崩壊しかけていた家族が、義父が認知症になったことで大変な思いをつながら家族の絆を深める物語でありました
家族があったから、なんとか頑張れたのです
しかし、21世紀の今日ではシングルのまま介護に突入する事例も多いようです
悲惨な実話を幾つか知っています
ラストシーンはハッピーエンドなのでしょうか?
死んだかと錯覚して家族が駆け寄ってみたら、生きていたのです
身も蓋もないことで、不謹慎でもありますが、本当は死んでいた方が、家族もボケた義父も一番幸せだったのです
それが本当のハッピーエンドでしょう
これからこの家族には、病院を退院させてしまったからには、さらに壮絶な介護の地獄が直接身に降りかかり延々と続いていくのです
主人公が歌う花いちもんめの童歌
義母も元気だったころに歌っていました
母性が子供に帰ってしまった認知症の患者には一番必要なことなのでしょう
その優しさだけが救いなのだと思いました
心無い夫の言動、態度にも耐える力です
伊藤俊也監督の演出も、千秋実、十朱幸代の演技も見事に尽きます
名作です
西郷輝彦さんを偲んで
初鑑賞
監督は『女囚701号さそり』『白蛇抄 』『風の又三郎 ガラスのマント』『ルパン三世 くたばれノストラダムス』『プライド・運命の瞬間 』『日本独立』の伊藤俊也
脚本は『柳生一族の陰謀』『社葬』『プライド・運命の瞬間』の松田寛夫
憎まれてながらふる人冬の蠅
ボケてなお人は生きるのか
生きるなり
80年代日本映画の名作
黒沢映画でお馴染みの千秋実がボケ老人の役を務めた傑作
受賞歴無しの老俳優がこの年の日本の映画賞を総ナメにする快挙
ボケ老人の世話で壊れかけた夫婦の絆が深まる感動作
考古学の元大学教授で地元松江の歴史資料館を勤めた鷹野冬吉に千秋実
心臓が弱い冬吉の妻・菊代に加藤治子
単身赴任で神戸でスーパーの店長を務める冬吉の息子・鷹野治雄に西郷輝彦
大阪に住み花屋のパートで働く治雄の嫁・桂子に十朱幸代
治雄の姉で冬吉の長女・金子伸恵に野川由美子
スナックを営む治雄の妹で冬吉の次女・鷹野光恵に二宮さよ子
豊の姉で治雄の娘・里美に長谷川真弓
治雄の愛人・飯塚友子に中田喜子
光恵のオトコ石本義和に岸部一徳
勇退を迫った歴史資料館館長に内藤武敏
アルツハイマーを宣告する神経内科の医者に神山繁
松山の鷹野家にやってきた米屋に田山涼成
この頃はまだ岸部一徳と田山涼成の髪がフサフサだった
中田喜子が愛人役という意外な配役
台詞で「一億万円」を2度も言うがそれがちょっと気になった
別れを告げられ動揺し興奮する心理状態を表現したものなのだろうか
TBSの連ドラ『予備校ブギ』にレギュラー出演していた長谷川真弓が大阪の鷹野夫妻の長女として出演
僕ら世代としては懐かしい
ちなみにこの年あたりからボケ老人が熱心に社会問題として取り上げられたようだ
その影響でこの作品が誕生したのだろう
この年この作品が公開された1ヶ月前に台詞覚えが悪くなったことをボケと思い込み悲観して飛び降り自殺した剣戟大スター大犮柳太朗を思い出す
完
エンドクレジットなし
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