「会話による説明省略の妙と解けない謎」麦秋 Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
会話による説明省略の妙と解けない謎
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会話を中心とし余分な説明を排除した脚本は、粋とは思った。有名なローアングルの独特な構図は、あまり好きにはなれなかった。こちらに向かって俳優が話しかけてくる構図も、違和感を感じてしまった。
兄と弟絡みのやりとりはユーモア混じりで、まあ楽しめた。高名ではあるが原節子にはあまり魅力は感じず。一方、嫁役の三宅邦子さんは良い女優さんと思った。結婚する相手の母親役の杉村春子さんは、気持ちの浮き沈みが体全体で表現されていて、流石と思わされた。
小津映画の解読力が十分でないためかもしれないが、幾つかの謎が自分に残った。
まず、最初に海浜を歩く犬の意味は?原節子演ずる紀子は、子持ちの矢部医師と、どういう気持ちの動きで結婚する気になったのか、それが画像上で表現されてるか?その結婚決定に、戦死したらしい紀子兄への思いは、どう関係しているのか?
矢部医師は何故、紀子が自分のところに嫁に来てくれることを知っても、嬉しそうで無かったのか?紀子が矢部と結婚することに決めたことを、なぜ、誰も祝福しようとしないのか?
紀子は縁談相手を覗き見て、どう思ったのか?その気持ちと、見た後のお茶漬けのご飯おかわりは、どう関係しているのか?
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