続拝啓天皇陛下様のレビュー・感想・評価
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犬のような主人公(渥美清)とホントの犬たち
BS松竹東急の
「よる8銀座シネマ」での
放送(2024.8.20)を
録画していたので視聴。
字幕を付けて観ることができて
有り難い。
渥美清さん、
今作でも主演。
前作とは別人の役。
戦争のシーンは
ほとんど無い。
戦前、戦中、戦後の
ひとりの男の恋と
犬との交流を描いていて、
楽しくて
切ない物語。
テンポもよく、
演技も良い。
脚本に山田洋次さんも加わり
ストーリーも面白い。
たくましい市井の日本人の悲喜劇
現代日本人には到底真似できないタフさと
生命力みなぎる戦中戦後日本の庶民。
生きる為なら、好きな人の為なら
恥も外聞もなくなんでもやる。
馬鹿でたくましく美しい山口善助は
車寅次郎の原型かなーって前作よりも感じました。
前作は赤提灯、今作は紅い夕陽の
“赤い“赤子のラストシーンがとても印象的
というか衝撃的な秀作!
【見事な聖俗の逆転劇】
本作の主人公、山口善助は変わった男です。家族はおらず、貧乏で、字が読めず、盗癖があり、天皇陛下のファンです。子役の子の顔つきも雰囲気もまるでミニ渥美清!
善助は、普通の人が嫌がる軍隊への入隊を喜びます。その理由は、生まれ育ちで差別されないし、飯が腹いっぱい食えるし、俸給はもらえるし、住むところにも困らないし、仲間がいて寂しくないし、なにより自分が役に立てるから。それだけ、彼にとって外の世界は過酷ということなのでしょう。
支那事変が勃発し、善助にも召集令状が届きます。彼は北京の軍犬部隊に配属され、献納軍犬友春号の飼育係として訓練に励みます。「犬でも情に変わりはない」「これほど心配してくれる人間が今までいたか?」班長に諭され、善助と忠犬友春はベストパートナーに。渥美清の顔をペロペロ舐め回す犬を見ていると、ホントに懐いていたようです。そんな善助と友春に悲しい別れが訪れます。日本が負けたため、軍用犬は現地に残されることに。いつまでも聞こえる友春の悲しげな鳴き声に善助も涙が止められません。
映画は天皇陛下人間宣言、極東軍事裁判、引き上げの様子をポンポンとテンポよく描写し、時代は戦後へ。
善助の人生には3人の女性が登場します。一人は小学校の美人女性教師(岩下志麻)。彼女は孤独な善助に字の読み方をレクチャーしてくれます。ただ、小さな誤解が元で善助は少年刑務所へ。
二人目は没落貴族の美人奥様、久留宮ヤエノ(久我美子)。善助は友春の元の飼い主であったヤエノの家を訪ねます。夫は出征したまま行方知れず、一人残された彼女は食い物にも事欠く有り様。放っておけない善助は必死で働き、彼女に食料を届け続けます。ただ、小さなアクシデントが元で善助は米軍に捕まり強制的に沖縄送りに。
この二人の女性と善助の関係性から、彼の性癖が明らかになります。彼の望みは「美人の飼い犬になること」です。彼は教師やヤエノが心配したみたいな、男女の関係を望んではいません。ただ褒められて、なでなでしてもらいたいだけです。自分が友春にしていたみたいに。友春号は自分が飼い主でしたが、今度は美人が飼い主で、自分が忠犬になりたいのです。美人の飼い主の元でだけ、彼は生き生きと働くことができます。そんな彼の倒錯した願いはヤエノの夫の帰還により断たれてしまいます。その後の彼は、生気が抜けたように自堕落な生活を送るようになります。
三人目の女性は可哀想な街娼の恵子(宮城まり子)。もともと顔見知りであった善助は、街でばったり出くわした恵子をまるで子犬でも拾うみたいに自分のバラックへ連れ帰ります。恵子はそんなに美人でもないしそんなに神聖さもないので善助の飼い主にはなれません。善助はどちらかと言うと恵子を飼い犬のように扱います。恵子は忠実な犬のように善助に尽くします。二人で支え合って生きているように見えますが、善助は働きません。生活は行き詰まり恵子は家を出ます。残された善助は、街で子犬を拾います。犬に向かって「恵子!恵子!」と呼びかける善助。やはり「恵子≒飼い犬」だったようです。
特殊な生い立ちのせいか、女性と対等な関係を結ぶことができない善助。かれの幸せは天皇陛下や美人の「忠犬」として生きることのようです。
本作の中で本当に尊い存在は天皇陛下でもなく、女先生でもなく、ヤエノでもなく、拾い犬のような女性、恵子でした。善助が天皇陛下に命を捧げようとしたみたいに、彼女は善助と生まれくる子どもに命を捧げました。最も卑小な存在が最も尊い存在になったラストは見事な聖俗の逆転劇でした。善助も彼女を失って初めて、それに気づいたことでしょう。彼は今後、誰かの飼い犬になりたいなんて思わなくなるでしょう。恵子は善助の心の奥に「永遠の聖女」として生き続けるはずです。これからは恵子が命と引換えに遺してくれた娘を幸せにするために身を粉にして働く善助の姿を予感させる、映画のラストシーンでした。
脚本に山田洋次が加わることで前作とは違い、戦争色が薄くなり、戦後の日常が丁寧に画かれている
喜劇というにはあまりに物悲しいストーリーです。
ラストの夕日を善助が歩くシーンは砂の器の親子が歩くラストシーンと被る。京都の奥様に御執心になるシーンは寅さんと被り、さしずめ恵子はリリーってとこでしょうか
野村芳太郎と山田洋次の原風景が見て取れます。
僕は初見だった。
良い事も悪い事も全て天皇陛下を持ち出す。
そんな事許されるのだろうか。
この時代に、片言の日本語で会話する中国人が日本にいたのだろうか?
正編の差別が更に加速して、より「フーテン◯寅」に近くなったと思ったら、脚本家に理由があった。
亡父の知り合いに「八郎軍」の捕虜になり、日本軍と戦った人がいた。人格者と言われて、我が亡父も信頼をしていたが、これみよがしに話す姿が鼻についた。僕にはね。
この映画で解釈すると、在日の外国人を一方的な「悪」として描いている。しかし、福田村の話をどう解釈するのだろうか。
大阪城の脇の地域は在日◯鮮人の部落があって、中華系の在日の方は福原の方だと思っていた。
また、アメリカ兵が日本人の婦女子に暴行を加えた事実はあるのだろうか?
兎に角、ほぼメチャクチャな出鱈目話を映画にした、その様に僕には見える。
「勝てば官軍」だが「負けたんだから」新しいアイデンティティを日本人は持たねばならないと感じるが、敗戦80年経ってもアイデンティティが無いまま、大和民族は絶滅に瀕している。
ゴ・ディン・ジェム大統領の時代でその後、ベトナム戦争が始まる時期。それを予感して作った映画とは思えない。ベトナムが一番アイデンティティがない時期。華僑が生活出来る空間がこの時期、サイゴンにあったのだろうか?
戦争+寅さん+無法松
2020年5月30日
映画 #続拝啓天皇陛下様 (1964年)鑑賞
#渥美清 の魅力である屈託のない笑顔、打算のない行動、ブサイクを踏まえた映画で、#男はつらいよ シリーズに繋がる感じがした。片思いするけど振られるところなんかまさにそうですもんね。軍犬兵というのは名称も含めて初めて知りました。
ウンコ屋善助の一代記
孤児となった善助(渥美清)はウンコ屋しか仕事がなかった。
徴兵されるとそこは天国、召集後は軍用犬の担当に。
敗戦後、帰還して以前仲良くしていた中国人(小沢昭一)のもとへ。
知恵遅れの女を演じる宮城まり子との掛け合いは絶品で、これだけでも値打ちがある。
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