バージンブルースのレビュー・感想・評価
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中年男長門裕之のうら若き秋吉久美子との二人旅は、いったい何を表現しているのか?
藤田敏八 監督・内田栄一 脚本による1974年製作(99分)の日本映画。
藤田敏八(1932年生まれ)と内田栄一(1930年生まれ)の分身の様な中年男(映画の中では44歳設定、長門裕之1934年生まれ)が、ただひたすら若くて危うげな秋吉久美子(1954年生まれ)を愛でている様な映画だった。
内田栄一脚本らしく、何を描いているのかが、とても分かりにくい。
ただ、映画の後半の舞台となった岡山は彼の生まれ故郷の様だし、秋吉が出会う幼馴染がやってる前衛劇の内容は内田がやっていた前衛劇と同様らしい。秋吉演じる畑まみは岡山出身で東京で学ぶ浪人生で、浪人時代に俳優デビューした秋吉とキャラクターがかぶる(静岡生まれ福島県いわき育ちだが)。まあ充て書きということか。
内田栄一世代ということで想像を逞しくすると、自称バージンの秋吉久美子は“戦後民主主義”の象徴か?出会った時には、素晴らしく美しく宝物の様に見えたが、一緒に行動していく中で、バージンは嘘というのも分かってしまい幻滅もさせられる。そして、自分たちの手から離れて、あっけなく何処かに行ってしまい、結局は手に入らない。残された俺たちにあるのは、夢の様な記憶と喪失感だけみたいな。
本映画のモチーフとなったという「バージン・ブルース」を、映画の中で野坂昭如が歌っていた。歌詞は自分には殆ど理解できない。印象に残っていないが、音楽はゴダイゴ前の武川行秀とミッキー吉野。赤ちょうちんに続いて、高岡健ニと中島葵(後に、芥正彦と劇団立ち上げる)も出演。
監督藤田敏八、脚本内田栄一、企画栗林茂、製作伊藤亮爾、撮影安藤庄平、美術横尾嘉良、音楽武川行秀、ミッキー吉野、録音紅谷愃一、照明松下文雄、編集井上治、助監督八巻晶彦、スチル井上俊康。
出演
秋吉久美子畑まみ、長門裕之平田洋一郎、清水理絵小林ちあき、林ゆたか秋山正次、高岡健二橋本誠、赤座美代子平田の妻、中島葵ホステス、坂本長利マルブン、吉井亜樹子ママ、田中筆子まみの祖母、加藤嘉ちあきの父、白石奈緒美ちあきの母、松山由起子女子寮生、赤沼智英子女子寮生、中森肇子劇団員、野坂昭如。
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