野火(1959)のレビュー・感想・評価
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生の渇望と絶対的孤独
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AmazonPrimeVideo(シネマコレクション by KADOKAWA)で鑑賞。
原作は未読です。
筆舌に尽くしがたい生地獄を淡々と描写していました。極限に追い込まれた人間の生の渇望と絶対的な孤独をこれでもかと見せつける。人間性を失わせる戦争。なんて悲惨なのか。
ボロボロになって戦場を彷徨し、カニバリズムをすんでのところで豆粒ほどに残った倫理観において忌避する田村を体現した船越英二の、鬼気迫る演技に圧倒されました。
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野火を目指して
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結核のため隊から戦力外通告を受けるが、物資・食料不足により病院から入院も断られる主人公田村。戦うでもなく、療養するでもなく彷徨います。
芋が手元にあるうちは、兵士らしく最期を遂げようと決めているのですが、もはやそういった戦局でもないようで。降参しても命の保証はなく、本能的に生きる道を探します。
侮蔑的な意味ではなく、疲弊した兵士達が、生を求めるでも死を求めるでもないゾンビのように見えました。砲撃下で死んだフリをして、そのまま死ぬ者と、起き上がる者とで生死が分かれるシーンが非常に印象的でした。
民間人をやむなく射殺した後に銃を捨てることや、最後の選択から、田村は驚くほど最期まで理性を保ちます。
人らしく生きれるか、人らしく死ねるか、極限状態での人間の尊厳を問うています。
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