「様々な視点」日本のいちばん長い日(1967) 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
様々な視点
戦争映画(否、終戦映画と言うべきか)は多数存在するが、本作も観るべき一本として挙げられるだろう。
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1945年8月14日から15日にかけての一日…ポツダム宣言受諾決定から玉音放送に至るまでの出来事を、同名のノンフィクションを元に活写。政府、軍部、マスコミなど、当時の関係者がほぼ実名で描かれている。
主要登場人物60名以上。階級、立場など万別な各人の行動を、岡本喜八の演出は淡々と追っていく。
鈴木貫太郎ら閣僚たちによる緊迫した会議。
陸軍省でのクーデター計画。
玉音放送を時間までに間に合わせんと奔走するNHK職員…。
この立場の異なる様々な人物、多様な視点の存在が、この映画をより深いものにしている。
歴史は多面体なのだと、あらためて唸ることとなる。
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様々な視点から描いた本作にも演出上の誇張や省略はあると思う。
本作に限らずどんな歴史映画にも、例えドキュメンタリーであったとしても、誇張や省略は(積極的な意図があったにせよ無かったにせよ)存在する。故に一本の映画を観ただけで歴史を判ったような気になってはいけないと思う。
それでも歴史と向き合う手がかりとして本作の意義は十二分にあるであろう。
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