「木下恵介の「船」」二十四の瞳(1954) 抹茶さんの映画レビュー(感想・評価)
木下恵介の「船」
舞台が小豆島で、山や海、白い砂浜など自然背景を存分に活かした構図は言うまでもなく、和船、漁船、観覧船など船の描写が多くあり、櫓で舟を漕ぐシーンや出征のシーンで風になびくテープや船に揺られる人物を写したショットなど、どれもとても美しかった。
映画の中で年を取っていくでこちゃんの役作りは言うまでもなく、子ども達の顔も皆それぞれ個性があり味わいのある顔でよくキャスティングしたなあと感心するばかりだった。
劇中ではメインテーマとして「七つの子」が事あるごとに歌われる。画やストーリーと相俟ってグッと来るシーンもあるんだけど、あまりにもしつこい(しつこすぎる…)。俳優の声を使ったバージョンもあるが、基本はプロの児童合唱団が歌ったと思しきもので、もう歌が上手いわ、伴奏でハーブがボロンボロン鳴るわでなんとも言えない心地になった。更に劇伴には「七つの子」に加えて、誰もが知る童謡がキーを変えたり拍子を変えたり楽器を変えたりと様々な演奏のバリエーションでこれでもかと執拗に繰り返される。ニュアンスに合わせて使い分けていたとは思うけど、貼っていて分かんなくならなかったのかなあと思う程乱用されていた。
コメントする