「事件の本質に迫ってほしかった」226 mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
事件の本質に迫ってほしかった
二二六、名前は知ってるけど
二二六、どうしてやったのかは知らない…
CMの替え歌ソングになりましたが、
日本史の試験などで二二六事件の年代を覚え、高橋是清がこの事件で殺害されたことも併せて暗記していたような記憶があります。
しかし、実際のところ、「二二六事件は何のために実行されのか?」と聞かれると、具体的な背景はよくわからず、将校たちが集まってクーデータのようなものを実行に移した、ぐらいの知識しかありませんでした。
映画を見ると、多少、その事件の真相が見えるかもしれないと思ったのですが、映画ではいきなりと言っていいほど、二二六事件実行の雪降る場面の当日で始まり、その事件に至るまでの「課程」や青年将校たちのそこに至るまでの思いなどは描かれておらず、お茶を濁された感じでした。(一番最初に打ち合わせのようなものはあったのですが本当に短い描写で印象に残っていません)
もともと、この事件について深く興味を持っている人や詳しく知っている人などが見れば、想像力を働かせながらドキュメンタリーとして見るという楽しみ方もあるかもしれませんが、二二六事件についてよく知らない人が見たら、歴史の教科書にちょっと毛が生えたぐらいの事件の顛末を知るぐらいで、その本質は見えてこないでしょう。
映画では、「昭和維新」「尊皇討奸」などというスローガンが何度も出てきますが、いまいち、青年将校たちの決起に向かう燃えたぎる思いが伝わってきませんでした。最後の方で昭和維新の歌?だったかが流れますが「義憤に燃えて、血潮湧く」、一直線な愛国への憂いのようなものを、もっと前に打ち出してもよかったのではないか。時系列で淡々と進んで、最後はそれぞれの将校たちとその家族の回想のようなシーンでまとめられ、決起の大義も見えてこず、最後に三浦友和が「天皇陛下万歳!」と叫んでも、全然、訴えるものがありませんでした。
政府を覆して、官僚を襲撃して殺害するという行動にまで行き着かなければならなかったという、狂気に近い、その「志し」の気迫みたいなものがあったはず。
出演されている俳優陣は立派な人ばかり。今はもう亡き大物俳優も多く出演されています。
芦田紳助、川谷拓三、高松英郎、萩原健一、丹波哲郎・・・