「タロとジロは生きていた」南極物語(1983) Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
タロとジロは生きていた
総合70点 ( ストーリー:75点|キャスト:75点|演出:70点|ビジュアル:75点|音楽:75点 )
南極の厳しい自然の中で冒険をして生死を共にした犬たちを、鎖につないだまま置き去りにせざるをえなかった。これは辛い。せめて首輪を緩いままにしておけば良かった、苦しませないように毒を飲ませておけば良かった、罪悪感に苛まれ打ちひしがれる。南極に戻って、犬を繋いでいた場所が雪に埋もれていて、そこを掘りおこすときの思いはどんなものだったか。凍りついた犬たちの死体を見つけたときはどんな気分だったか。南極に戻るまで長い一年だったろう。
もう一つの話は鎖から離れることができた犬たちの南極での生き残りの生活。こればかりは実際どのようなものだったかは想像するしかなくて実態はわからないのだが、なかなか良く犬を訓練していると思う。だが犬たちが死んでいくところに焦点が当たりすぎて、どのようなものを食べてどうやって餌をとったか・どのような日常をおくってどうやって生き抜いていたのかという部分の描写が少ないのが不満なところ。本来は生存のための努力と死の両面がしっかりと描かれてこそ、南極の厳しさがよりわかるものだろう。鎖から脱出することが出来なかった犬たちは最後の場面で掘り出されるまでほったらかしだったのも残念で、餌もとれず雪に埋もれるまま餓死か凍死する場面を、厳しいけれど挿入していてもよかったのではないか。
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