劇場公開日 1983年7月23日

「感動超大作の見方」南極物語(1983) ブロディー署長さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0感動超大作の見方

2021年10月24日
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泣ける

幸せ

全編2時間24分がとにかく長過ぎる。せっかく南極でお金と時間と命をかけて撮ってきた映像だから使いたい!という制作側の気持ちはよく分かりますが、そこがとにかく長い。しかし、まさに最高!と言えるほど見応えのあるシーンが6箇所あります。
①0:58高倉健が隊長にあと1回だけでいいからヘリを飛ばしてくださいと懇願するシーン。ポケットから毒薬を出して「殺してきます」。
②1:26夏目雅子が祇園祭で「言うこと聞かへんと結婚してあげへんよ」と言うシーン。
③1:32犬を置き去りにしたことを飼い主に謝り行脚をしていた高倉健が少女に「こんな犬いらない、リキを返せ」と言われ無言で耐えるシーン。
④1:55夕暮れの中、リキの飼い主の少女に高倉健が「自分は、どうして犬たちを殺してこなかったのかと後悔していました。でもそれは間違いでした。生き物はそんなものじゃない。誰も命を奪う権利なんてない」と言ってヴァンゲリスのテーマが初めてかかるシーン。
⑤2:07夏目雅子が「はよ東京に行かはったら、うち待ってるわ、その上でうちを選ぶなり、ほかすなりしてちょうだい」と言い、渡瀬恒彦があまりに愛おしくなって強く抱きしめるシーン。
⑥2:17再び南極に行った高倉健がタロとジロが生きていた奇跡に涙しオー!と叫ぶ有名なラストシーン。
録画した人は、この6シーンを中心に見てください。最初の見せ場が、映画開始から1時間も待たなきゃ行けない点が、この映画を初めて見る人の眠りに誘う要因になっています。高倉健、渡瀬恒彦、夏目雅子という日本映画史上に残る名優の水もしたたるイイ時の最高の演技が見れます。
つまり、この映画のウリである「南極大陸と犬たち」の冗長な映像を除けば傑作だと実感できるところが皮肉と言えます。

ブロディー署長