波の塔

劇場公開日:

解説

松本清張の同名小説を、沢村勉が脚色し、「いろはにほへと」の中村登が監督したメロドラマ。撮影は「日本よいとこ 無鉄砲旅行」の平瀬静雄。

1960年製作/98分/日本
劇場公開日:1960年10月30日

ストーリー

某省局長の娘田沢輪香子は、旅行先の上諏訪で一人の青年に知りあい、帰京して友人佐々木和子と深大寺に出かけた時、美しい女性と同伴の彼に再会した。青年は小野木喬夫という東京地検の新任検事だった。連れの女性は結城頼子といい、小野木とは一昨年演舞場で知りあってから、逢瀬を重ねていた。小野木は頼子を輪香子たちに紹介しなかった。輪香子は二人の間になにか暗い秘密の影を感じた。頼子の夫結城は政治ブローカーで、夫婦間は冷く、結城は家をあげることがしばしばだった。ある日、頼子と小野木は身延線の下部温泉へ旅行した。着くと間もなく台風に襲われ、帰りの中央線は不通、二人は東海道線に出るため山道を歩いた。二人は番小屋で一夜を明かした。そこで頼子は人妻であることを告白した。喬夫の心は変らなかった。小野木は某官庁の汚職事件の担当になった。所用で新潟へ出張して帰京する小野木を頼子は駅で迎えた。それを仲間吉岡が目撃し、結城に告げた。結城は妻の情事を察し下部まで調べに出かけた。一方、汚職事件の捜査も着着と進んでいた。輪香子は頼子のことが気になり、家に出入りする新聞記者辺見に調査を頼んだ。頼子は汚職事件の中心人物結城の妻で、父も関係していると聞き呆然とした。結城は妾宅で検挙された。家宅捜査のため小野木は結城邸へ向った。そこで頼子と小野木は対面した。二人の心は驚きと悲しみで一杯になった。結城の弁護士林は小野木と頼子の情事を調べ、司法界の長老を動かし事件の揉み消しにかかった。小野木は休職になった。彼は辞表を出し、頼子と二人だけの生活に入る決心をした。約束の夜、小野木が東京駅で待っている頃、頼子は新宿発の列車に乗っていた。結城と離婚して自由の身になることも頼子にはできた。が、それは破滅に通じることも知っていた。小野木との約束を破ることは彼女の最後の愛の表現だった。富士の裾野--黒い樹海の中に頼子の姿は、しだいしだいに吸いこまれていった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5中村登監督の堅固な演出哲学と映像美学を堪能

2024年9月28日
PCから投稿

ストーリー的には松本清張原作による前途有望な若手検事と美貌ではあるが暗い影をまとう人妻との不倫悲劇サスペンス。

かなり前に視聴し本作が醸しだす映像世界にえらく感心してしまい、見られる限りの中村映画を視聴し、確固たる演出哲学と映像美学をお持ちの方なんだなぁとさらに感心を深めるに至る。
その哲学と美学とは具体的に何なのか? は語彙と筆力不足で述べられないのがもどかしいが、「ネッチョリ湿度が高く、やるせない”あまりにも昭和的な”大人の世界」を味わいたい向きにお勧めしたい。

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resuwisshu311

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