劇場公開日 1956年11月20日

「大御所それぞれの魅力を見比べ」流れる La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

未評価 大御所それぞれの魅力を見比べ

2025年9月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 成瀬巳喜男監督は日本の名匠として知られていますが、彼の映画にしばしば登場する優柔不断で甘えた男にどうしても心を寄せられず、僕には苦手の監督です。ところが本作は、クズな男は登場しない一方で、杉村春子・山田五十鈴・田中絹代という大御所女優3人が揃い、しかも、僕の大好きな高峰秀子そして岡田茉莉子も相まみえるという超豪華な女性映画なのです。これを観ない手はありません。

 戦後の芸者の置屋に関わる女性達を映画いた幸田文の小説が原作です。

 まず、映画で見る山田五十鈴さんは、その場の支配力が非常に強く映ります。この人が居るだけでその場面に芯が出るのです。そして、粋に三味線を弾きこなせる女優さんなんて彼女しか居ないのではないでしょうか。

 更に、杉村春子さん。僕は、小津作品の端役で登場する彼女が大好きで、どこかガサツな市井のオバチャンがふと見せる何気ない仕草にいつも目を吸い寄せられ「うまいなぁ」と感心します。

 そして、田中絹代さん。本作での役柄もあるのでしょうが、引き算し尽くして作り上げた穏やかさが山田さんや杉村さんとは異なる魅力を発していました。

 これは眼福の一作です。

La Strada
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