劇場公開日 1956年11月20日

「芸者の生きざま」流れる jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0芸者の生きざま

2020年5月17日
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オールスター女優の競演が 変に総花的にならず上手くいった
置き屋の主人つた奴(山田)を軸に 玄人と素人の対比、そこに出入りする人々を描いている

女達がぶつかる中で 男に捨てられ魂が抜けたような、だらしない米子(中北)の空気感が面白かった
(つた奴の妹とは思えない)

その矜持も男運の悪さも才覚のなさも 金策の邪魔になり家屋を手離すことになる つた奴の年増の色香と悲哀が美しい

また、その日暮らしで年下の男に捨てられた 通いの芸者染香(杉村)
彼女の所作が素晴らしい
この二人が その欠点を含め芸者らしく 魅力的だった

着物の着付の場面(岡田/山田)は華やぐ
衣装考証は岩田専太郎

料亭経営等に才覚を示し、したたかなお浜(栗原すみ子 迫力)が怖いが、彼女にはもはや芸者の心が無いこともわかる

ラストのつた奴と染香の三味線での〈神田祭〉には 女中(田中)と共に消えゆく花柳界に思いをはせることになる

女同士のちょっと意地悪な本音も 面白かったです

jarinkochie